「12プレミア」の記事一覧(19 / 21ページ)

ラップするホンモノの組長も実在! 【MC漢とD.O】がぶっちゃける“ラップとヤクザ”のウラ事情

「月刊サイゾー」を無料で立ち読み!

――日本版ギャングスタ・ラップの立役者である漢とD.O。前者は新宿を、後者は練馬をレペゼンしながら、共にドラッグ、バイオレンス、セックスなど、アンダーグラウンドの現実を歌ってきたラッパーである。そんな2人のダイアローグを通して、日本におけるヒップホップとヤクザのリアルな関係をあぶり出してみたい!

1511_rap_01.jpg
(写真/岩根愛)

『ストレイト・アウタ・コンプトン』という、日本では劇場公開すら危ぶまれていた作品が、アメリカでは3週連続で興行成績1位を獲得するヒットを飛ばしている。1986年にカリフォルニア州コンプトンで結成されたラップ・グループ=N.W.Aのキャリアを描いたこの映画のタイトルを、文脈を踏まえて訳すならば「コンプトン刑務所から出たら仕返しするためにお前の家に直行するからな!」となるだろうか。そこには、アメリカの中でも特に犯罪率が高く、ギャングが横行する暴力都市として知られていた80年代後半のコンプトンのリアリティが反映されている。

 また、映画のヒットによって、N.W.Aが89年に発表した同名のデビュー作もビルボード・チャートの4位にランクインするなど再び注目されているが、そもそも、このアルバムは26年の間に累計300万枚以上を売り上げ、ギャングのアティテュードやライフスタイルについて歌う“ギャングスタ・ラップ”というジャンルを形成し、それはすでにアメリカ文化のひとつとして認められているのだ。

 ところで、ギャングを日本文化に置き換えるとチンピラ、今風に言えば半グレということになり、一方、マフィアがヤクザに当たる。ただし、アメリカのギャングには地元に密着したアウトロー集団というようなニュアンスもあって、いわゆる地回りヤクザに近いようにも思える。そして、日本でも映画『ストレイト~』は年末公開が決定したものの、ラップ・ファンにしか注目されていないということは、つまり、N.W.Aの持つリアリティが理解されていないということである。

 そこには、この国で地域社会が弱体化し、追い打ちをかけるように暴力団を排除する法律が強化され、ヤクザが身近なものでなくなったどころか、タブー化したことが関係しているだろう。あるいは、日本のラップ・ミュージックは基本的にアメリカで起こったムーヴメントをその都度翻訳することで発展してきたが、日本版ギャングスタ・ラップ=ヤクザ・ラップは一般的になっていない。例えば、現代日本におけるN.W.Aとでも言えそうなレーベル〈9SARI GROUP〉による、ギャングの抗争を模した映像作品「9SARI HEAD LINE 番外編」が、拳銃ではなく水鉄砲で撃ち合うという設定なのも、臭いものにフタをするそのような状況を皮肉っているのだ。

 それにしても、実際のところ、日本におけるヤクザとヒップホップの関係はどうなっているのか?〈9SARI GROUP〉のオーナーで、日本のストリート事情を赤裸々に歌ってきた漢と、同レーベルに所属し、バラエティからニュースまでお茶の間をにぎわせてきたD.Oに話を訊いた。

地方の繁華街を仕切る”地回り”とラッパー

1511_rap_02.jpg
左:漢 a.k.a. GAMIの自伝『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社) 右上:2015年3月に行われた9SARI GROUPと兄弟レーベルのBLACK SWANによるツアー・ファイナルのDVD『9sari × BLACK SWAN tour final live at SHINJUKU FACE』 右下:9SARI GROUPのミックスCD『ENTER THE 9』

――漢さんの自伝『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社)には、「そのディールはトラップだった。(中略)相手は大人の不良、つまりヤクザだった。(中略)大切な仲間を巻き込むし、危険をおかして稼いだ金もすべて失った」「身内のあいだでMC漢がシャブつながりでヤクザとつるみ、本人もヤクザになったという黒い噂がささやかれていた」といったように、ヤクザに関する記述がたびたび登場しますね。

D.O(以下、D) オレらはヤクザと誤解されてるだけなんだけど、今は元極道のラッパーとか元ラッパーの極道とかって珍しくないよね。

 Y市のTというグループの初代メンバーは、あるときラップをやめて組に入って、そのうちのひとりは組長をやってる。今度、オレらは今のTのパーティに呼ばれて出るけど、ソイツが「久しぶりにマイク握りたい」と言ってるらしい。

――そういうケースは、お2人がラップを始めた90年代から見られましたか?

ジリ貧のフジテレビが社運をかけた女子アナ採用! ポスト・カトパンの新人・宮司愛海アナ局内での評判は?

「月刊サイゾー」を無料で立ち読み!

1510miyaji.jpg
フジテレビアナマガHPより。

 秋の改編も一段落し、今年入社の新人女子アナの評判が出揃ってきたこの時期。日本テレビの笹崎里菜アナは別格として、やはり注目を集めているのがフジテレビの3人組。なかでも宮司愛海アナには“ポストカトパン”の期待がかかっているという。予想通り出世コースの「めざましテレビアクア」のお天気キャスターに抜擢されたが、さて局内での評判は!?

「06年に入社した本田朋子、秋元優里、松尾翠以来の女子アナ3人採用が話題になっていますが、裏を返せば人材が枯渇しているということ。未だにカトパンにオファーが殺到するなか、山崎夕貴と三田友梨佳以外の若手が育っていないのが現状。視聴率が低迷して久しいフジですが、女子アナ志望の女子大生の中でも人気は急落している。テコ入れする意味もあって久しぶりに3人採用しましたが、期待通りに育つかどうか…」(フジテレビ局員)

 もちろん宮司アナが同僚の小澤陽子、新美有加両アナを差し置き未来のエース候補扱いなのは間違いないようだ。

「社員証携帯の推進啓蒙ポスターで新人アナがそれぞれモデル役となりましたが、宮司のポスターの出来栄えが素晴らしく、男性局員の間で『今年の新人はかわいい!』と盛り上がりました。アナウンス室でも特別扱いで男性アナがこぞって食事に誘っては、仕事についてレクチャーしているとか。カトパンも目をかけていて、来年4月からの『めざましテレビ』本体への昇格は規定路線となっています」(前出)

 期待倒れにならないことを願うばかりだ。

「高スペック既婚男性が都合よく離婚して自分のものに!」マンガ『姉の結婚』はアラフォー女性のポルノ!?

「サイゾーpremium」より

――サブカルを中心に社会問題までを幅広く分析するライター・稲田豊史が、映画、小説、マンガ、アニメなどフィクションをテキストに、超絶難解な乙女心を分析。

1510anenokekkons.jpg
姉の結婚(1)(フラワーコミックスα)

 今回は、アラフォー女性が、東京での生活に疲れ、戻った地元で恋をするマンガ『姉の結婚』をピックアップ!

※本文中にはネタバレがあります。

 この8月、俳優・山本耕史(38歳)と女優・堀北真希(26歳)の結婚が報道された。ここで特に話題になったのが、「直筆の手紙40通を手渡し」「指輪を持って新幹線で待ち構える」といった、山本の熱烈アプローチである。その結果、ふたりは「交際0日で結婚」に至ったという……なんだそのドリーミィ(夢心地)な超展開は。

 このニュースに、筆者周囲のアラフォー独身男性は色めき立った。「ストーカーアプローチって有効なんだ」「頑張れば俺たちでも20代狙えるかも」。いい年こいて、こちらは別の意味でドリーミィ甚だしいが、それに負けず劣らずドリーミィな文化系アラフォー独女の耳目を集めたマンガがある。『姉の結婚』(西炯子・著/全8巻)だ。

 本作は2012年「このマンガがすごい!」のオンナ編4位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2012」では第5位を獲得した人気作。20~30代向け女性向けコミック誌「月刊フラワーズ」(小学館)誌上に、2010年から2014年まで連載された。

 主人公は、物語開始時点で40歳目前の独身女性・岩谷ヨリ。東京で不倫などを一通り経験して疲れ果て、地元の図書館に勤務する身だ。仕事ができ、物書きの才能もある文系の才媛。ただし女子力は低く、着るものにも無頓着だが、スレンダーな隠れ美人である。地味系の文化系独女読者がドリーミィに自己を投影できるギリ上限いっぱいの、絶妙な人物設定といえよう。

 結末をいきなりネタバレすると、ヨリは物語序盤で心をつかまれた超イケメン・超優秀な精神科医の既婚男性(地元の同級生)への愛がどんどん深まり、最後にはめでたく結ばれる。

 実は、ヨリには物語の途中でいくつも別の選択肢が用意されていた。堅実な地元新聞記者に求婚されたこともあれば、東京で文筆家になるチャンスもあった。辛い恋で傷つくのはもうたくさん、これから穏やかな人生を送るためには、このあたりが落とし所では?――などと逡巡しまくったヨリだが、結局、もっとも愛した相手とゴールイン。絵に描いたようなハッピーエンドを手にする。まさに現代のお伽話だ。

 本作で描写されるヨリのストイックな諦念とキレキレの達観、しかしそれでも捨て去れない「真の愛」に対する一縷の望み。このトライアングルバランスの描写は絶妙だ。諦めたり、達観したり、ウェットになったり。3方向に揺れ続けるヨリの心は、30代後半独女のヒリヒリした心情を克明に代弁していた。

 ただし、設定やストーリーがあまりにドリーミィすぎると揶揄する向きも、少なからずあった。「ブサイクだった同級生がイケメン化する設定に現実感がない」「あんなに若々しいアラフォーは存在しない」「展開がファンタジーすぎる」などなど。

 しかし、そのようなリアリティの欠如など、読者女性は百も承知である。なぜなら本作は、ヨリと同世代の30代後半文化系独女(およびその予備軍)たちにとって、よくできたポルノ、要はエロ本だからだ。彼女たちは、本作がファンタジーであることをわかった上で、自分を投影したヨリが究極の愛を獲得するプロセスに、心の底から悶絶する。

「最高最強スペックの妻持ちイケメンが、離婚までしてアラフォーの自分と結婚してくれる」

 なんというご都合主義、なんというドリーミィな超展開だろう。「交際0日婚」なんぞ、ゆうに凌駕している。男性向けエロマンガで、「突然現れた美少女がものすごくエロくて、うだつのあがらない主人公にセックスしてぇとねだる」のと、たいして変わらない。

 しかし結果的に充足感が味わえるなら、プロセスがファンタジーだろうがドリーミィだろうが嘘臭かろうが、問題はない。『姉の結婚』の女性読者は、読後に昇天するほどのカタルシスを得るし、エロマンガの男性読者は、あられもない美少女の姿に昇天するほどの(以下略)。

 いい年こいた独身男性がエロマンガばかり読んで快適なファンタジーに囲まれていると婚期が遅れるのと同様に、30代後半独女がポルノチックなファンタジーに執心しすぎると婚活が修羅道化するかどうかは、エビデンスがないのでなんとも言えない。

 しかし、ここで『姉の結婚』と比較しておきたい作品がある。『姉の結婚』と同時期に、同じ「月刊フラワーズ」で連載されていた超人気作品『失恋ショコラティエ』(水城せとな・著/全9巻)だ。第36回講談社漫画賞の少女部門を受賞。2014年には松本潤、石原さとみのキャストで月9ドラマ化もされたので、知っている方も多いだろう。

 主人公は、天才的ショコラティエ(チョコレート職人)の小動爽太(こゆるぎ・そうた)、25歳。彼が、高校時代から想いを寄せる女子力スーパーハイなキラキラ女子・サエコ(26歳)と結ばれたい一心で、ショコラティエとして名を成していく物語だ。ただし、サエコは人妻である。

『姉の結婚』も『失恋ショコラティエ』も、「主人公が既婚者に想いを寄せている」という点で共通している。しかし、『失恋ショコラティエ』の結末で、爽太とサエコは結ばれない。サエコは一時爽太に惹かれるも、離婚には踏み切らないのだ。爽太は妥協し、セフレ(!)関係を続けていたモデルの女を選ぶ。

 そもそも『失恋ショコラティエ』では、ほぼ20代で固められたメイン登場人物の大半が、「最初から好きだった人」と結ばれない。皆、届かない想いを自分の中で冷静に消化して別の相手とくっつくか、ひとりぼっちを受け入れる。

『失恋ショコラティエ』は、「これくらいでいいや」的な幸せの落としどころ見つけました感が半端ない。『姉の結婚』のドリーミィ感とは対象的である。ヨリのように、既婚者を離婚させてまで結ばれる超展開なんぞ、とんでもない。現実ときっちり折り合いをつけた、スーパービターな結末。ホットなポルノとは程遠い、ドライ極まりない現実的なラストが叩きつけられる。

 快適でドリーミィなポルノだった『姉の結婚』と、射精後の賢者タイムの如き現実路線を歩んだ『失恋ショコラティエ』。不惑であるはずのアラフォー女性が絵に描いたような理想を捨てきれない一方、人間としてはまだ成熟途上であるはずの20代女性たちは現実を黙って受け入れる――。

 この対照的な構図は、むしろ現実世界においてリアリティがある。

「手近な幸せ、そこそこの相手」では手を打てないアラフォー独女が婚活修羅道を歩むのを尻目に、「さとり世代」とも称され将来に過剰な期待を抱かない20代独女は、手持ちのコマで早めに手を打っているからだ。筆者の周囲でも、大卒就職後2〜3年でサクッと結婚する都内在住の文化系女子が、ちょくちょく現れ始めている。なお、彼女たちにことさら専業主婦願望はない。

 実際、新成人女性の42.8パーセントが25歳までに結婚したいと考えているというデータがある。30歳までなら97パーセントだそうだ(2015年、オーネット調べ)。20代女性の早婚願望がここ数年高まりつつあるという分析も、多方面で耳にする。

 というわけで、結婚願望のある独身の男性諸氏としては、自身の年齢、スペック、相手に求める人生観を吟味検討のうえ、ベストオブベストなハッピーエンド以外は認めない『姉の結婚』系30代後半女子と、理想の追求を放棄したスーパー現実主義者の『失恋ショコラティエ』系20代女子、どちら方面に重点アプローチするかを、早々に決められたい。

 なお、イケメン精神科医でも天才ショコラティエでもない筆者のアラフォー友人男性諸君におかれては、年内めどでミーティングを開催するので早急に予定を調整されたし。その前に『姉の結婚』と『失恋ショコラティエ』は必ず読んでおくこと。以上、業務連絡にて。

稲田豊史(いなだ・とよし)
編集者/ライター。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年にフリーランス。『セーラームーン世代の社会論』(単著)、『ヤンキー マンガガイドブック』(企画・編集)、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(構成/原田曜平・著)、評論誌『PLANETS』『あまちゃんメモリーズ』(共同編集)。その他の編集担当書籍は、『団地 団 ~ベランダから見渡す映画論~』(大山顕、佐藤大、速水健朗・著)、『成熟という檻「魔法少女まどか☆マギカ」論』(山川賢一・ 著)、『全方位型お笑いマガジン「コメ旬」』など。「サイゾー」「アニメビジエンス」などで執筆中。映画、藤子・F・不二雄、90年代文化、女子論が得意。http://inadatoyoshi.com

「私、脱ぐよ」篠原涼子がフジテレビの新ドラマでアノ年下俳優との官能シーンを提案

「月刊サイゾー」を無料で立ち読み!

1510otonajoshi.jpg
フジテレビ『オトナ女子』HPより。

 ドラマの不振が続くフジテレビが、今期もっとも期待を寄せているのが、10月15日にスタートする篠原涼子主演の『オトナ女子』(フジテレビ系)だ。

 篠原が演じる恋愛アプリの開発会社に勤め、仕事をバリバリこなすOLと同い年の40歳の親友3人が、それぞれダメな男に振り回され、時に傷つけ、励まし合いながら幸せをつかもうと奮闘する物語。男性キャストは谷原章介、江口洋介の名が明かされているが、フジにはまだ発表していない目玉俳優がいるという。ドラマ関係者が声を潜めて言う。

「斎藤工ですよ。夫の市村正親が66歳と高齢なせいか、篠原が直々に若い俳優を望み、斎藤を指名したそうです」

 しかも、当初はコミカルな演出の予定だったが、斎藤の出演が決まったことで、篠原みずからがセクシー方向への転換を希望したというのだ。前出のドラマ関係者がこう続ける。

「台本にはキスシーンやベッドシーンもなかったのですが、篠原が『私、脱ぐよ』と言い出したんです。情事の後、鳥の鳴き声で目が覚めるといったベタな演出だったのが、上半身裸のまま斎藤の胸元に口を這わせたり、ディープキスをしたりと、斎藤の出世作となった『昼顔』(フジテレビ系)を彷彿とさせる官能シーンが追加されることになりました。斎藤は篠原の“ペット”のような役どころで、彼女はヤリたくなると斎藤の上に乗って始める。私生活でのセックスレスのストレスをドラマで発散させたいのかもしれませんね」

 篠原の“熱艶”が今から楽しみだ。

藤原紀香、市川海老蔵夫妻もハマった! Dr.コパ、ユミリー出現でブームを呼んだ”風水建築”の功罪

【サイゾーpremium立ち読み】

――風水の専門知識を持つ建築士に向けて、来春にも「風水建築士」なる資格の認定が開始されるという。風水といえば、Dr.コパこと小林祥晃氏や、ユミリーこと直居由美里氏など、“占い師”的イメージが強いが、その歴史を紐解けば、はなから“怪しいモノ”として扱われてきたわけではない。その変貌の理由とは?

1510fengshuis.jpg
『風水住宅図鑑―風水で住宅をみるための基礎知識』(太玄社)

 今年は、徳川家康の没後400年だ。葦が生い茂る湿地帯を、風水に基づいて世界一の大都市・江戸につくり変えた家康は、このたびの新国立競技場をめぐるゴタゴタをどんな思いで眺めているのだろうか──。

 そんな戯言を、国土交通省で国道建設を采配する技官のA氏はこう一蹴する。

「江戸時代とは違って、現代の公共事業では、風水を取り入れるなんてはなからあり得ませんよ(笑)。事業の必要性以外にも、地元選出国会議員などの利益代表、反対する住民、予算や環境の問題など、調整事項が山積みなんですから、そこに“迷信”の入り込む余地はない」

 A氏の言う通り、 “迷信”“占い”という位置づけに落ち着きつつある風水だが、しかし、古代から近世にかけては、「学問」のひとつとして扱われてきた側面もある。西洋における占星術が天文学と近しい関係にあったように、風水もまた、地理学や環境学と密接な関係にあったのだ。

 そもそも「風水」とは、その解釈には諸説あるものの、古代中国において、都市や建物などの位置の吉凶を決定するために用いられてきたもので、“気の流れを物の位置で制御する”という思想を指す。風水研究で知られる東京都立大学名誉教授の渡邊欣雄氏は、2000年に『アジア遊学』(勉誠出版)に寄せた論考の中で、かつての風水が「地理」と同意語であり、地形の測量などの科学と密接に関係していたことを説いている。

【サイゾーpremium立ち読み続きはこちらから】

安藤美姫、古閑美保、田中理恵……”美人”が通用しなくなるテレビの世界で、「美人アスリート」は何をすべきか?

――女性向けメディアを中心に活躍するエッセイスト・高山真が、サイゾーの特集記事を斬る。男とは、女とは、そしてメディアとは? 超刺激的カルチャー論。

CYZO1510H1s.jpg
サイゾー 2015年10月号 

 サイゾー10月号の『美人アスリートの「第二の人生」胸算用』を読んでみてつくづく思ったのは、「男と女の見方はこうも違い、こうも同じである」ということでした。現役アスリートであれ元アスリートであれ、ほとんどの女たちはアスリートが「美人である」ことに、重きを置いていません。美人アスリートを「美人である」という理由で好きになる一般人の女はまずいない。アスリート以上にキレイさを問題にされそうな女子アナ界ですら、「美人である」という理由で女子アナを好きになる一般人女性はほぼいないのですから。

 しかし、逆もまた真なり。「イケメン○○」という形容詞で世に出てくる男たちも多くなったとはいえ、その男たちを「顔」で評価する一般人の男たちがほとんどいないのと、ある意味では同じであるといえるでしょう。

 芸能界やテレビの世界で、男と女の一番の違いといえば、「同性に向けて『美』を発信する仕事」が確立されているのは女の世界だけ、ということ。サイゾーにも「美人アスリートは、テレビでは女優やモデルあたりと美人度を競うことになる」と書いてありました。イベントごとで予算を動かすのはだいたいオヤジなので、「スポーツ系のイベントにも美人が必要だよな」というオヤジ目線から「美人アスリート」に仕事が行くのは容易に想像がつきます。しかしテレビの世界を視聴率という数字で評価しているのは一般人です。それも現在では女性視聴者のほうが多いのでは、というのが、「スポンサーについている企業がどんな商品を売りたくてCMを流しているか」をざっと見渡したうえでの、あたくしの実感です。

 ただでさえ芸能界なんて供給過剰ぎみなので、「長くいようと思えば思うほど、先々苦しくなる」のは、木っ端コラムニストのあたくしが言うまでもないことです。アスリートから芸能界に転身した女たち、それも、今回サイゾーで取り上げられた美人アスリートの方で、「松野明美のような生き残り方をしたい」と思っている人は間違いなく皆無でしょう。そして、芸能やプロスポーツの世界では、女たちは遅かれ早かれ必ず、異性よりも同性の支持を欲しがるものです。だとすれば、結局必要になるのは、「顔以外の何か」という至極当たり前のものになります。アスリートならわかるはず、「基本」を持っている人間が一番強いのよ。

「顔以外の何か」とは、何か。美人女優や美人モデルが何をどう努力しても手に入らないものは、何か。それは、自分がやってきたスポーツを語ることに関して、女優やモデルよりはもちろん、他の選手たちよりも頭ひとつ、2つ抜きん出ていること。結局は「基本中の基本」に立ち返るのです。

『マツコ&有吉の怒り新党』や『マツコの知らない世界』で、元マラソン選手にして現解説者の増田明美がフィーチャーされたり、いまだに柔道の解説といえば山口香、体操の解説といえば加納弥生(現・笹田弥生)の右に出る人間がいなかったり……。3人に共通するのは、圧倒的な滑舌のよさ。そして、「異常なほどの取材量に裏打ちされた解説」が「ネタ」としても優秀であることが認知されてきた増田明美はともかく、山口香や笹田弥生の解説は、「そのスポーツを第一線でやってきた人間だけが見える、技の精度や美しさ、選手たちの駆け引きやメンタルのありよう」が、そのスポーツをやったことがない人間にもわかるような言葉になっている。試合中にそれを見抜く眼力と、それを即座に言葉にする聡明さこそが、威厳につながるのです。多くの一般人に、「そりゃ、かなわないよ」と思わせる何か。それこそが、「顔」以上に同性を引きつけるものです。それも、かなりの長期間にわたって。ただし、身につけるのが実はもっとも難しい要素ではありますが。

 別に田中理恵に対して個人的なネガティブ感情など一切ありません(というか、そもそも好き嫌いを論じるほどの思い入れがないのです)が、体操の世界体操選手権の中継番組において、「笑顔を大切に」とか「選手一丸となって」とか「思い切ってやれたと思います」とか、本当にこのスポーツをやっていたのかという程度のコメントしかできないことを、まずは誰よりも本人が危機感をもってほしいと切に願っていたりします。

 安藤美姫にせよ古閑美保にせよ、私生活の切り売りをしながらも、しかし肝心のところはボカしにかかる往生際の悪さは、結局はソンをするだけ。「何もかもぶっちゃけるのが当たり前」「それで嫌われたところで、悪名は無名に勝る」の勢いで仕事をしている人間が佃煮にするくらいいる芸能界。彼らの露悪ぶりに一般人がどれだけ眉をひそめようが、それがバラエティの「基本」になってしまっているのが現状です(この「ねじれ」こそが大きな問題ではありますが)。現在、「肝心なところをボカしにかかる芸能人」といえば、まず誰もが思いつくのは矢口真里ですが、矢口はすでに「嫌われてナンボ」という点ではハラをくくっています。あそこまでの「ヨゴレ」になる覚悟を、矢口と同じ「種目」で勝負しようとしている安藤美姫や古閑美保は持てるのでしょうか。

 実力・成績でノシてきた女たちが、「注目」「人気」という極めてあやふやなもので勝負にかかる難しさは理解できます。そのあやふやな「注目」「人気」と対峙することに関しては、元一流スポーツ選手だって基本から始めなくてはいけない。スポーツ選手が「一日にして成らず」であるように、タレントも一日にして成らずなのです。

高山真(たかやままこと)
エッセイスト。著書に『愛は毒か 毒が愛か』(講談社)など。来年初旬に新刊発売予定。

流線形のカーデザインを先取り!? 奇抜なだけじゃない! ザハ・ハディドの実力

【サイゾーpremium立ち読み】

――イラク生まれ・英国在住の女性建築家ザハ・ハディドによる新国立競技場の設計案は、周知の通り白紙になってしまった。彼女のデザインは奇抜といわれるが、本当のところ建築家としての実力はいかほどなのか?

1510_kokuritu_04_400.jpg
ザハがデザインした建築物たち。ヘイダル・アリエフ・センター(アゼルバイジャン・バクー/12年竣工/(c)Baris Aydemir) 香港理工大学ジョッキー・クラブ・イノべーション・タワー(中国・香港/13年竣工/(c)HeyItsWilliam) ヴィトラ社消防所(ドイツ・ヴェイルアムライン/93年/(c)Wojtek Gurak) ファエノ科学センター(ドイツ・ヴォルフスブルク/05年竣工/(c)Benni W.)

 新国立競技場の騒動を機に、日本でも広くその名が知られるようになったザハ・ハディド。そのデザインは「斬新」「奇抜」と評され、2013年に公開されたカタールの「アル・ワクラ・スタジアム」のコンセプト画像は「女性器のよう」と話題にもなった。数々の国際的なコンペで勝利するものの、長らくそのプランが実現することがなかったことから「アンビルド(建てられない)の女王」という不名誉な称号まである。

「そう呼ばれたのは、もう10年以上前の話です。04年に女性初のプリツカー賞(建築界で最も権威ある賞のひとつ)を受賞してからは、約300人のスタッフを抱え、今や世界でも屈指の実力ある事務所になっています。

【サイゾーpremium立ち読み続きはこちらから】

こんな五輪建築に誰がした? ザハ、JSC、森喜朗……新国立競技場問題の本当の戦犯

【サイゾーpremium無料で立ち読み】

――建設費が巨額に膨らんだことで大きな批判を浴びた揚げ句、7月に安倍首相が計画の白紙撤回を表明した新国立競技場。8月末に工事費の上限を1550億円とする新整備計画が決まったが、これほど話がこじれてしまったのは、結局のところ誰のせいなのか?複雑に絡み合う利権を紐解きながら、あるいは過去の五輪建築と比較しながら、問題の本質を探りたい。

1510_kokuritu_01_400.jpg
(絵/都築潤)

■安保法案の可決後に白紙!
【1】安倍晋三
設計に2年を費やしたザハ案を「五輪の主役は国民一人一人そしてアスリートの皆さん」など体のいい言葉でひっくり返した。「英断」と言われる一方、白紙にする前日に安保関連法案が衆院本会議で可決されたため、その批判と支持率低下を食い止めるための目くらましとも言われている。すでにザハや設計業者などに支払い済みの契約金約60億円は無駄金に。

■デザインコンクール審査委員長の言い訳
【2】安藤忠雄
7月16日の記者会見で「私たちが頼まれたのは、デザイン案の選定まで」「皆さん方と私も一緒なんですよ。2520億……私も聞きたい。もっと下がらないのかと」「一人の国民として、なんとかならんかなと思います」「2520億という話を聞いたとき、えーっと思いましたよ。だからこれは調整しないといけないでしょう」などと、他人事のような発言を繰り返し、責任逃れをした。

■JSCと政府を批判する東京都知事
【3】舛添要一
ツイッターで「新国立競技場は『国立』であり、その建設の責任者は、JSC・文科省・政府であって、東京都ではない」(7月12日)、「主張の整合性よりも内閣支持率が優先か?」(7月17日)、「文科省・JSC体制では駄目である。新たな機関をつくるべきだ。有識者会議も、政府決定を追認させるだけの隠れ蓑で、存在価値はない」(7月19日)と批判を繰り返している。

■契約金は受け取り済み!
【4】ザハ・ハディド
50年生まれ、イラク出身、イギリス在住の女性建築家。コンペに勝利した原案は、キールアーチが計画対象範囲を大きく超えてJRの線路や首都高の上にかかり、そのまま建設すれば3000億円かかるとされたが、JSCが縮小させて修正案を作り、1625億円に経費削減。しかし、それを再度試算したところ2520億円に膨らんだ。すでに契約金14億7000万円はザハ氏に支払い済み。

■ラグビーのコネを活かすJSC理事長
【5】河野一郎
東京医科歯科大学在学中はラグビー部に所属し活躍。88年ソウル五輪から96年アトランタ五輪まで、ラグビー日本選手団のチームドクターを務めた。そのコネクションで日本ラグビーフットボール協会や日本オリンピック委員会(JOC)、森に食い込む。JSC理事長の任期は9月末日まで(再任も可能)。一部報道によると、年間報酬は約1830万円だという。

■舛添都知事にディスられた文科相
【6】下村博文
13年から五輪担当相を兼任していたが、五輪の特別措置法により閣僚の定員枠が1人増え、15年6月から遠藤利明元文部科学副大臣に交代。その後、ザハ案の白紙撤回を受け、舛添都知事からツイッターで「最大責任者は文科省であり、担当役人の処分は免れない。組織の長にその処分ができないのなら、自らが辞任するしかない」(7月23日)と猛批判を浴びる。

■“ミニ森”と呼ばれる五輪担当相
【7】遠藤利明
中央大学在学時にラグビー部に所属。ラグビーを通じて森喜朗の子飼いとなり、“ミニ森”の異名を取る。「地味」「印象が薄い」と評されるが、森の威光で五輪担当相に就任。巨大利権をほしいままにするのではないかと言われる。7月18日、山形県にある地元事務所兼自民党選挙区支部に「日本の恥 安倍晋三」などと複数の落書きをされる事件が発生。

■責任転嫁する東京五輪組織委会長
【8】森喜朗
五輪開催決定時は、「招致できたのは石原慎太郎都知事(11年開催地立候補当時)を説得した自分の手柄」と言わんばかりだったが、新国立の白紙撤回で批判を浴びると「五輪をやりたいと手をあげたのは東京都」と責任転嫁。工事費については「国がたった2500億円も出せなかったのかね」と不満を漏らす。巷では新国立は「森喜朗古墳」と揶揄されている。

■ザハを発掘した建築家だが……
【9】磯崎新
ザハを見いだし、ザハ案を支持したものの、工事費削減のための修正案がJSCから提示されると、「当初のダイナミズムが失せた」「将来の東京は巨大な『粗大ゴミ』を抱え込むことになる」として批判に回る。競技とセレモニーを同一会場で行うことに無理があるとし、新国立は競技のみ、開会式は東京・二重橋前の広場で開催することを提案している。

■ザハ案を批判した大御所建築家
【10】槇文彦
13年8月、日本建築家協会の機関誌に論文を寄稿し、「周辺の歴史的景観を壊す」「建設コストを肥大化させる」などと、いち早くザハ案を批判。「東京新聞」(同年9月23日)のインタビューでも 「1300億円といわれているが、まともにやったらもっとかかるという声がある」 と指摘。同年11月には発起人となり、「新国立競技場に関する要望書」を下村文科相、猪瀬直樹都知事(当時)に提出した。

サイバーエージェントの強引な競合行為でネット広告抗争が勃発!?

「サイゾーpremium」を無料立ち読み!

1510_NS_2.jpg
最近ではすっかり名社長と呼ばれる藤田晋社長。かつてのイケイケ感もすこしダウン?

 インターネット広告代理店事業やブログ運営など、IT関連事業を取り扱うサイバーエージェントが、7月23日に発表した第三四半期の決算で、売り上げや営業利益などが過去最高を記録し、話題となった。IT業界で長く飛ぶ鳥を落とす勢いの同社は昨年、マザーズから東証一部に指定替えをし、今年9月に最初の決算を迎える。これも予想を上回る好決算になる勢いだ。文字通り、ベンチャーから大企業への飛翔を遂げていた同社だが、その急拡大の裏で関連子会社がネイティブアドをノンクレジットで掲載【1】するなど、その強引な手法も指摘され、話題となっている。

 そんな中で、アドウェイズなどの大手インターネット広告会社と深刻な関係悪化に陥っているという。

「発端は、サイバーエージェントの子会社、CAリワードが昨年末にリリースした金融系のアフィリエイト広告を取り扱う『Linked Money』(リンクドマネー)というASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)サービスの立ち上げです。これが、サイバーエージェントと取り引きのあるアドウェイズなど大手ASP業者に『競合事業だ』と見なされ、サイバーエージェントからのアフィリエイト広告の案件を拒否するなど、関係が悪化しているようです。またサイバーエージェントが、今年に入り「即日人気キャッシング.com」など、あからさまなアフィリエイト媒体を開設したこともあり(詳細後述)、同業者はサイバーエージェントの広告事業での路線拡大を非常に警戒している」(ネット広告業界関係者)

 一般的なネット広告がインターネットサイトなどの媒体が広告主に、バナーを掲載する枠を販売するのに対して、アフィリエイト広告(成果報酬型広告)は、広告を見たネットユーザーが商品を購入するなどの取引をした成果に応じて広告料金が発生するもの。グーグルアドセンスなどが代表的である。宣伝効果が本当にあるのか微妙な従来型の広告とは違い、取引実績やバナー閲覧数などの数字で成果を換算し、それに応じて報酬を支払うシステムである。

 商流としては、広告主が広告代理店に発注し、代理店がASPに案件を発注する。そこでASPは媒体と広告掲載や報酬の支払いなどの調整などを行う、というのが一般的だ。アドウェイズなどのASP企業は、媒体(比較サイトやブログサービス、ニュースサイトなど)の運営者と、広告代理店の間をつなぐ役割を果たしている。これまでネット系の広告代理店であるサイバーエージェントは、ASPに案件を発注する立場にあり、広告主に対して運用状況を報告する関係上、ASPから媒体との取引条件や成果、特性について情報を受け取っていた。今回、問題視されたのは、サイバーエージェントがこれまでASPからもらい受けていた各媒体の情報を基にして、CAリワードがそれらの媒体に営業をかけた疑惑があることだ。

「もともと、CAリワード自体もASP企業でしたが、事業規模も小さく、サイバーエージェントグループ内での取引が多かった。ところが『リンクドマネー』は金融案件に特化しており、同じ案件を得意とするアドウェイズなどは看過できなかったのでしょう。またCAリワードが、サイバーエージェントが代理店業務の中でASPから報告を受けた各媒体との取引内容を知った上で、各ASP企業の取引先媒体に営業をかけているのではないかと、憶測が広がった。ASPと媒体との取り引きの詳細がわかってしまえば、当然、それより有利な取引条件を提案することができてしまう。特にアドウェイズは、CAリワードがアドウェイズと媒体の詳細な取引内容を知ったうえで、媒体に営業をかけていると確信したので、大規模な反発行動にでたのでしょう」(大手ASP会社社員)

 アドウェイズは今年3月頃から一部の案件を除いて、サイバーエージェントからの案件を受けない方針を固め、サイバーエージェント側もそれを黙認しているという。

「一時期、サイバーエージェントの広告部署の中で『なんでアドウェイズと取り引きできないんだ!』と騒然となったが、おそらく、既存の商流を維持するか、自社の拡大を優先するかを天秤にかけた結果、後者の道を選択したのだろう」(前出の関係者)

 関係悪化のもうひとつの理由として挙げられるのが、先述したサイバーエージェントによる媒体の運営である。同社のグループ会社は昨年頃から、「育毛剤フサフサ比較ラボ」や、「即日人気キャッシング.com」、前述の「即日融資安心カードローン.com」などのアフィリエイトのサイト(広告主の提案する商品やサービスを紹介し、取引の成果で報酬を得る媒体。アマゾンリンクなどが代表的)を開設しだした。

1510_NS_3.jpg
サイバーエージェントの子会社が運営しているというアフィリエイトサイト。かなりあからさまなテイストが香ばしい。

「業界的には、カードローンの比較サイトなどの媒体でいえば、ネット広告大手のバリューコマースの子会社、ジェーピーツーワンの運営するものが長年、王者として君臨してきた。ところが今年1月にサイバーエージェントが、さまざまな媒体のノウハウを駆使して、強い集客力のあるこれらの媒体を開設し、実質的な業界2番手に躍り出てきた。広告代理店が自社のASPに加え、媒体まで運営するようになれば、ASP専業企業としては死活問題になりかねない。確実に、同業者の商圏を取りに来ている」(同)

 このように、ネット業界の寡占化を図っているともとれる同社の事業拡大の裏では、各企業からは反発の声が多数上がっており、その手法が強引であると言わざるを得ない。本件に対してサイバーエージェントではどう見ているのか? 同社の広報担当者に聞いた。

「リンクドマネーという金融に特化したASPサービスをリリースしたところ、アドウェイズから問い合わせがあったのは事実で、話し合いの結果、今年4月からアドウェイズのレポートは媒体名を非公表とすることとなりました。他のASPとの取引は順調に推移しています。

 CAリワードは以前からASP事業を行っており、なぜ今回だけ問題視されているのかは、当社としてはわかりかねます。CAリワードは別会社であり、情報は遮断されているので、サイバーエージェントが代理店事業を通じて入手した媒体に関する情報を基に、CAリワードが媒体へ営業をかけるようなことはなく、リンクドマネーのサービスになんらかの問題があるとは認識していません。4月以降、アドウェイズへの発注が減少しているのは事実ですが、関係が悪化しているような認識はありません」(サイバーエージェント広報)

 と、要はアドウェイズとの取引調整があったことは認めつつも、その他の面ではさほど問題にしていないことが伺える。

 一方で関係者によると、アドウェイズ側もサイバーエージェントのクライアント(広告主)に営業をかけ、同社を介さず別の代理店を立てるなど、“反撃”に出ているという。

 グループ全体で最高益を出したサイバーエージェント。しかしその裏には、仁義を欠いた強引な手法が見え隠れし、本件に限らず業界からの反発を招いている。もちろん各企業も指をくわえてただ黙っていることはない。

 水面下で繰り広げられる大手両社の“抗争”は今後、膨張するネット広告業界をより混沌とさせるだろう。

(村上力)

【1】ネイティブアドをノンクレジットで掲載
インターネットの記事全般において、広告主から報酬を受け取りながら、【PR】などのクレジットを入れず、中立を装った記事が問題となっている。これまでも、いわゆるステマブログや食べログの広告案件記事などが問題化されてきた。こうした事案が発端となり、2015年3月に一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)は、「ネイティブ広告に関する推奨規定」を制定している。4月には、サイバーエージェントの関連子会社が記事広告をノンクレジットで掲載していたことが、ブロガーのやまもといちろう氏に指摘され、問題となった。

【浅田 舞】「フィギュアで味わった挫折があるからこそ!」暗黒期を乗り越え心の底から笑えた本当の理由

【サイゾーpremium無料で立ち読み】

――安藤美姫や織田信成など、人気選手の登場で国民的スポーツとなったフィギュアスケート。その中でも一際メディアが熱い視線を送った選手といえば、浅田真央だ。そんな彼女を妹に持ち、同じく氷上で競う良きライバルという境遇を経て、現在は天真爛漫なキャラクターで芸能活動に勤しむ浅田舞。彼女が目指すゴールとは?

1510_athlete_16_400.jpg
(写真/永峰拓也)

 今や“浅田真央の姉”という説明は不要なほど、活躍の場を広げている浅田舞。7歳から始めたフィギュアスケートに一度区切りを付けた09年以降は、その知識を活かしたスポーツ番組への出演をはじめ、タレントとしての芸能活動も積極的に取り組んでいる。最近では、「週刊プレイボーイ」(集英社)の〈グラビアジャパン・アワード2015〉において、もっとも売れたデジタル写真集1位を獲得するなど、その活動は順風満帆だ。「フィギュアで味わった挫折があるからこそ、今のひとつひとつの仕事が楽しい」と語った彼女が選んだ第二の人生について聞いた。

──これまでにたくさんの取材を受けてきたと思いますが、妹・浅田真央さんと比較されることが多かったのでしょうか?

浅田 舞(以下、浅田) 「妹さんとは仲が良いんですか?」と聞かれることは多かったです。高校時代はそういう質問をされるのが本当に嫌で、自分ががんばっているのに、メディアは妹のことしか聞いてこない。たとえ一緒に試合に出ても、「真央ちゃんががんばってるから、お姉ちゃんもがんばらないと」とか、何度も言われてきました。「なぜ私のことではなく、妹のこと?」と思ったときもありましたが、あまりの多さに慣れました(笑)。でも今は、お互いが別の道でがんばっているときだと思っています。高校の頃と比べたら……今は何が起きても大丈夫ですから。それこそ当時は、今より体重が20キロ落ちたり、ある時は食べすぎて今より15キロ以上太ったり……もう、自分が自分じゃないみたいな感じでした。

──それが『しくじり先生』(テレビ朝日)などで話されていた夜遊びやクラブ通い。

浅田 はい、グレていた時代です。ただ、完全にグレることもできない中途半端な感じで、やっぱりフィギュアのこともあったので、大きく逸脱することはなかったです。両親にも心配をかけたし、母親からは「自分に子どもができて母親になったとき、どれだけ親が心配していたかわかる」って言われました(笑)。

──現役を離れて芸能界に入る前は、どのような状況だったのでしょうか?

浅田 フィギュアスケートは、もういいかなという気持ちでした。でも、今後何をしていいのかもわからない。学校で学ぶよりフィギュア優先だったので、世間一般的なことも何も知らない状態でした。現役から離れたのは20代前半だったので、周囲の友人はみんな就職しちゃっていて。

 今から3年くらい前ですかね、ずっと疎遠になっていた2つ年上で介護士をやっている女性と、偶然SNSで再会したんです。当時の私はひきこもりがちだったんですが、その女性はすごくアクティブな方で、いろいろな場所へ連れ出してくれました。そんな時に、東海テレビから「女性だけが走るフルマラソンに出場しないか?」というオファーをいただいたんです。私は絶対に無理だと思っていたんですが、その女性から「舞ちゃんに、もう一度がんばる気持ちを味わってもらいたい」と言われて、一緒に走ることにしました。結果、完走できて、それがきっかけで東海テレビのスポーツキャスターのお仕事をいただけて。さらに地元・名古屋でスポーツ関係の仕事も入るようになり、昨年末からはバラエティやグラビアのオファーもいただきました。

──そういった活動に関して、日本スケート連盟から発言規制などの圧力を受けることはないのでしょうか?

浅田 まったくありません。むしろ、グラビア撮影に関しては、「きれいに撮ってもらえるの?」と心配されたくらいで(笑)、何も知らない私がタレントさんみたいに活動し始めたので、騙されてしまうんじゃないかと心配してくれていたようですね。

──他スポーツになると、仕事によっては協会や連盟から圧力があるとも聞きます。

浅田 シンクロや水泳は厳しいと聞いたことはありますが、日本スケート連盟は自由ですね。連盟のスタッフは、過去のやさぐれていた私を知っているので、笑顔で芸能活動をしている姿を見て、「道が見つかってよかったね」と好意的な見方でした。

──芸能活動について、真央さんに何か言われたりしますか?

浅田 (真央は)テレビを見ないんですよね。朝4時には起床して、遅くとも21時には寝ている生活を送っているので。週に一度は2人でカフェに行って食事をしたり、買い物へ行ったりするんですが、その時に旅番組で行った場所や、テレビでお会いした方の話をしても、「そうなんだあ」と言うだけで、あまり興味がないみたい(笑)。

──現在は芸能活動がメインですが、第二の人生に目標は掲げている?

浅田 初めて経験する仕事ばかりで、目まぐるしく日々が過ぎています。現役から退いたあと、夢もなく焦っていた時期もありましたけど、今はありがたい状況です。なので、無理をして目標を掲げなくてもいいのかなって。実は、芸能界にもそこまで執着していないんです。将来的には、結婚をして子どもを生み、一軒家に住みたいという夢はありますけどね。それと、一度は生活圏から一切のフィギュア関連のものを処分したんですけど、最近は自分の中でフィギュア熱が再燃してるんです。子どもを対象にしたスケート教室を開いたり、アイスショウに出演して、真央と『アナと雪の女王』を踊ったり。あんなにフィギュアから離れたかったのに、人って変われるんだなって。今後も仕事は無理せず、フィギュアとも良い関係を築いていきたいです。

(文/石井紘人)

浅田 舞(あさだ・まい)
1988年、愛知県生まれ。フィギュアスケート選手として数々の功績を残し、09年からはスポーツキャスターやモデル、タレントとして活動。妹は、同じくフィギュアスケート選手で、今年現役続行を表明した浅田真央。http://mai-asada.jp

サブコンテンツ

このページの先頭へ