「12プレミア」の記事一覧(5 / 21ページ)

佐々木希と渡部建の結婚に希望を見いだしている独身中年男性は、身のほどをわきまえるべきである。【佐々木】は希の風が吹く

佐々木希と渡部建の結婚に希望を見いだしている独身中年男性は、身のほどをわきまえるべきである。【佐々木】は希の風が吹くの画像1

 4月9日、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)において、アンジャッシュ・渡部建(44)と女優・佐々木希(29)の結婚が発表された。この報を受けて「40歳過ぎても若くてカワイイ娘と結婚できるんだ!」と希望を見いだしている独身中年男性は、身のほどをわきまえるべきである。そんなことができるのは、一部の限られた人間なのだから。

「世界はね、パチンコみたいなものです。たくさんの玉が放られるなか、真ん中のポケットに入ってルーレットを回せる玉はごく一部。その中でさらに大当たりを引く玉は、より限られてしまいます。ほとんどの玉は流されるだけ。でも、そうやってパチンコという遊戯は、世界は、成り立っているんです」

 これは、私が高校を卒業する時、担任の教師が生徒たちに送った言葉である。これから“何者かになろう”と期待と希望を胸に飛び立とうとする若者に冷や水を浴びせるような教えだが、友達もいない地獄のような高校生活を送ってきた私にとって、妙に染みいる言葉であった。そもそも高校生相手にパチンコで人生を例えるのはいかがなものか? ということもあるが、例えに出しておきながら、担任はあまりパチンコをやったことがないのだろう。ちょこちょこ単語が間違っているような気がする。ともあれ、それ以来私は「身の程をわきまえる」ことをモットーに生きてきた。だからこそ、今回の渡部建と佐々木希の結婚も冷静に受け止められたのだと思っている。

 まあ、そうでなくてもこの2人の結婚、なんというか“完璧なオーラ”を放っていないだろうか。男女共に突っ込みどころがないキャラ、離婚しそうな気配は微塵もない。なんの嫌みもなく「幸せな結婚生活を送るんだろうな」と思える圧倒的な説得力がある。そのせいか、否定的な意見はあまり見かけない。なんなら、佐々木希の友人である木下優樹菜の「芸人さんの嫁さんに仲間入りだね!笑 何年もいじり倒されるわー!! 嫁のパンツくれ! とか。」というインスタの祝福コメントが非難されるという、「もう誰でもいいから貶めたい」といったおかしな空気になっているほどだ。

 言っておくが、知人の嫁が佐々木希であったなら、一般人であっても「パンツくれ!」とは言うだろう。むしろ言わないほうが失礼なくらいだ。もっと言えば、佐々木希じゃなくても、普通に嫁がかわいければ「パンツくれ!」は言うはずである、男なら。そんなに世の中、綺麗ごとばかりではないという事を女性の皆さんにはわかっておいていただきたい。

 そんな“完璧なオーラ”を放っている2人だが、こと佐々木希の今後の方向性に関しては、少々厳しめな意見がでているようだ。要は、引退? ママタレへ転向? 女優を続けるの? という話である。

 女優ということにおいて「代表作がない」といった声が聞こえるが、今では女優として確固たる地位がある宮沢りえでさえ、人気絶頂期に貴乃花との婚約を発表した際「代表作がない」と揶揄されたほどである。現時点で代表作がないことなどなんの問題にもなりはしない。個人的には「代表作って必要?」とすら思っている。あんなものがあるから、いつまでたっても我々は、鈴木保奈美は「カンチ、セックスしよう!」と性に対してオープンな人であり、安達祐実は「同情するなら金をくれ!」と無心する人であり、前田敦子は「AKBのことは嫌いにならないでください!」と泣き叫ぶ人であるという色眼鏡を通して彼女たちを見てしまうのである。前田敦子に至っては代表作ではないが、名刺代わりのインパクトは得でもあるし、損でもあるということだ。

 現時点で「佐々木希」と検索をかければ、かなりの数の映画やドラマの出演作品があがってくる。これで「女優」と名乗って何が悪い。前述の担任教師なら、きっとこう言うだろう。「たくさんの女優が芸能界に放られるなか、映画やドラマに出演できるのはごく一部。その中でさらに代表作を持てる人はより限られてしまいます。ほとんどの女優は流されるだけ。でも、そうやって芸能界は成り立っているんです」

 この言葉が佐々木希に届くかどうかはわからない。それでも、商業誌である「サイゾー」に載せることで、パチンコ台には放たれるわけだ。たとえ外れ玉になろうとも……というオチで終わろうかと思ったが、担当編集に「誰が外れ玉だ!」と注意されそうな気がするので、この例えは失敗だったかもしれない。そもそも、パチンコやったことないし。

西国分寺哀(にしこくぶんじ・あい)
以前から「佐々木希と佐藤かよは、角度によっては似ている」を提唱している40代独身男性。なんなら佐藤かよのほうがタイプだったりする。

「親にジョッキで殴られた」あなたの隣にも、被虐待児はいる――。

――虐待を受けた「わたしたち」に残ったものとは? よじれてしまった家族への想いを胸に、果たして、そこに再生の道はあるのだろうか。元・被虐待児=サバイバーである筆者が、自身の体験やサバイバーたちへの取材を元に「児童虐待のリアル」を内側からレポートする。

1705_honamiill_1jpg.jpg

自分はまともに育つことができたのだろうか?

「親にビールジョッキで殴られて2回流血」
「親父と面と向かって話そうとすると、身体が震える」
「ある程度の年齢になるまで、自分の家がおかしいということに気づかなかった」

 数年前から、こんな書き込みの絶えないサイトがある。『あるある祭り』という掲示板に設置されたスレッド『ガチで親に虐待されてた奴にしかわからないこと』だ。投稿者は文字通り、家族から身体的・精神的な暴力やネグレクト(育児放棄)を受けてきた被虐待者たち。2013年の開設以降、2700件を超える「切ない実体験」で埋めつくされている。

 未成年向けの掲示板かと思いきや、オトナたちの参加も目立つ。20代半ばの男性や子持ちの主婦、中年と思しきユーザーまでもが投稿し、共感を示す「あるあるボタン」のクリック数に「この悲しみは自分だけではなかった」と安堵しているのだ。

 彼らは、虐待を生き延びた人。カウンセリングの世界などでは「サバイバー」とも呼ばれることもある。わたしもその中の一人だ。「サバイバー」というと、無人島で昆虫でもかじっていそうな響きだが、ある意味、危険な生物(親や家族)と同じ空間でどうにかこうにか生き延びてきたのだから、やはりこれ以上ぴったりの言葉はないだろう。

 さて、わたしは今まで「同志」に会いたい一心で、他のサバイバーたちにも取材を重ねてきた。そこでわかったのは、彼ら彼女らは成人した今もなお、虐待の後遺症と闘っているということだ。

「大声を出されると体がすくんでしまう」「真夜中になると、ふとした瞬間に“あの時”の恐怖が蘇り、涙が止まらない」「自分はまともに育ったのか不安」「いくつになっても親の存在がしんどい」など挙げればキリがない。

 東京の大学に通っていたフクちゃん(仮名・当時21歳)は「小学生のときに母親からよく包丁を向けられていたので、今も怖くて包丁に触れないんです。肉や野菜を切るのはもっぱらハサミですね」と、日常生活の悩みを打ち明けた。中にはうつ病やパニック障害、解離性障害などで心を病んでしまい、精神科の薬が手離せないケースも珍しくない。

 もしかしたら、あなたのそばにもいるかもしれない。人知れずひっそりと闘っている「サイレント・サバイバー」が。

「え、身近では聞いたことないけど!?」

 そうおっしゃるのもごもっとも。サバイバーたちは、親しい友人や恋人にさえ、虐待の過去をカミングアウトすることがほとんどないからだ。暴力のない「普通の家の子」には理解されないと諦めているし、同情されるのもいたたまれない。だからこそ同じ境遇の「仲間」が集い、なおかつ匿名で本音を吐き出せるインターネットに、彼らは引き寄せられていくのだろう。

決して統計にカウントされない被虐待児たち

 では実際、虐待を受けたことのある人は、日本にどのぐらいいるのだろうか?

 平成27年度の間に、全国208カ所の児童相談所が「児童虐待相談」として対応した件数は、過去最多の10万3286件。これは同年の18歳未満の人口で計算すると、200人に1人の割合となる。

 しかし、これはあくまで児童相談所が把握している案件。つまり氷山の一角だ。

 都内にある「子ども家庭支援センター」施設長の女性が、現場の肌感覚について話す。支援センター(自治体によって名称は異なる)は全国にあり、児童相談所の「前段階」として虐待予防や相談窓口の役割を担っている。

「センターでは、普段から親御さんたちと気軽に話せるような態勢をとっています。日々の業務中に、お母さんから『今、子どもをぶっちゃったんです!』と泣きながら電話がかかってくることはしょっちゅうですね。その場合は、すぐに虐待として対応するのですが、精神的虐待やネグレクトを含めると、児童相談所と連携されないケースは全体の3分の2ほどあります」

 さらに、親が自らの行為を隠蔽し、周囲の大人にも発見されなかった子どもたちを含めると、膨大な数に上るだろう。

 わたしを含め、出会ってきたサバイバーたちがそうだった。我が家の場合、ある時期から「顔は目立つから」と服で隠れる部分への殴打が増え、母親の機嫌を逆なでしないよう、声を出さずに泣く術を習得した。一方で、親の監視がない「家の外」はまさにパラダイスだったから、幼稚園や学校では常に「明るく元気な子」。先生や友人の親御さんたちは、まさかそんな子が家でボコボコにされているなんて夢にも思わなかったであろう。

“見つけてもらえなかった”子どもたちは、やがてオトナになり、今もどこかで孤独に闘っている。

 この連載では、取材に協力してくれたサバイバーやわたし自身の体験をもとに、「内側から見た虐待」をレポートしてみたい。と同時に、虐待を克服するための道も探っていきたいと思う。サバイバーの中には、辛かった過去や親との関係に、自分なりの「落とし前」をつけて幸せをつかみ取った人も存在するからだ。

 次回、まず始めに「誰も気づかなかった虐待」=わたし自身のケースを紹介しよう。父は会社員で母は専業主婦という、一見どこにでもある普通の家庭だった。

(文/帆南ふうこ)

帆南ふうこ(ほなみ・ふうこ)
1980年生まれ、ライター。4歳ごろから高校生まで実母から身体的・精神的な暴力を受けて育つ。13年間にも及ぶ反抗期を経た後、結婚を機に母親と和解。ここ数年は元・被虐待児である「サバイバー」たちのオフ会を開いたり、取材を通じてサバイバー仲間との親交を深めている。趣味はお酒と田舎暮らし。

あばれる君、イモトアヤコ、平野ノラ…生き残るのは誰だ? キャラ芸人を乱発するナベプロ――ブルゾンも使い捨て!? の育成戦略

――テレビをつければ毎日どこかに出ているブルゾンちえみ、平野ノラ、あばれる君……彼らはナベプロ所属のタレントだが、早くも一発屋となりそうな予感がする。ネタ以外で本当に需要があるのだろうか?ネットではつまらない芸人の代表としてあげつらわれている彼らは、なぜテレビバラエティ番組で使われるのだろうか?

あばれる君、イモトアヤコ、平野ノラ……生き残るのは誰だ?キャラ芸人を乱発するナベプロ――ブルゾンも使い捨て!?の育成戦略の画像1
(絵/藤本康生)

 強烈なビジュアルと、キャッチフレーズが頭に刺さる中毒性の高いネタ。瞬く間にブレイクし、テレビで見ない日はないほどの活躍を見せる一方で、バラエティ番組を切り盛りするほどのトーク力があるわけではなく、卓越した漫才やコントを作る構成力があるわけでもない。そして、気がつけば忽然と姿を消している――そんな芸人といわれて、誰を想像するだろう。一昔前ならダンディ坂野、波田陽区、近年では8.6秒バズーカーやエド・はるみ……そして現在絶賛ブレイク中だが、ブルゾンちえみや平野ノラなどもその系譜を辿るといわれることが多い。こうして俯瞰すると、ここのところ渡辺プロダクション(以下、ナベプロ)に所属する芸人をテレビで目にする機会が多いことに気がつく。これは偶然なのだろうか?

 本稿では便宜上、こうした芸人たちを「キャラ芸人」と呼ぶ。近年のお笑い界に氾濫するキャラ芸人はなぜ生まれ、消えていくのか。テレビバラエティの制作現場では、何が起きているのか――?

まずキャラやポジありき 粗製濫造される芸人たち

 芸能界は厳しい世界だ。常に刺激の強い笑いに飢えた視聴者の審美眼にさらされるだけでなく、日々現れる新たな才能との競争に勝ち抜かなければならない。2発目、3発目のネタを当て、お茶の間でおなじみの顔となっていくのは至難の業だ。しかし、「キャラ芸人が生き残れないのは、彼らの能力の問題だけではありません。事務所の育成方法やマネジメントも大きく関係している」と指摘するのは、芸能プロ関係者A氏。

「ナベプロの育成方針は、『粗製濫造』な部分がある。とにかくたくさんの志望者を養成所に入れ、その中で少しでも売れそうな人材を探す。そしてキャッチーなキャラや演出を付加して、自社制作のテレビ番組に挟み込んでいきます。その中からブレイクする芸人がいればいいという考え方なんです。一時期、『エンタの神様』(日テレ系)など、キャラ芸を売り出すネタ番組が流行し、テレビ界からもキャラ芸人が求められた。ネタ番組がほとんどなくなった今、テレビ番組の動向を注視しながら空いているポジションを探して、求められるタレントを売出しているのです」(同)

 A氏が例としては挙げたのは、イモトアヤコ。彼女は、ナベプロ養成所のタレントコース出身。“女版出川哲朗”を企図して売り出されたのだという。また、芸人コースだと、あばれる君は最近芸人としての露出が減ってきた劇団ひとりのポジションを狙っていたのだという。

「キャラを付加するにしても、その人との相性がありますから、人材は多ければ多いほどいいわけです。売り出す際の基準で、コントや漫才の才能や技量の優先度が低いというのは事実です」(同)

 すると彼らは、トーク力や構成力などの“地力”が育ちきらないまま表舞台に立つことになる。消費され、消えていく者がいるのはむしろ自然だ。4月に報じられたブルゾンちえみのパクリ疑惑も、こうした構造に起因すると語る。

「ブルゾンは『パクリというのか、インスピレーションというのか、感じ方は人それぞれ』などと言ってお茶を濁していますが、私の目から見ればあれはパクリの範疇。キャラに合わせたネタを作る力がないから、どこかから引用せざるを得なかったわけですよ。またこの問題は、彼女の周囲にいるマネージャーや講師の実力不足も露呈している。本当に芸人を育てる力があるなら、この程度の事態は未然に防げたはずです」(同)

 テレビディレクターB氏は、ナベプロのキャラ芸人は「お笑い芸人でなく、お笑いタレント」と話す。芸人とタレントの線引きは曖昧だが、いわく「M-1グランプリやキングオブコントで優勝したナベプロ芸人が思い当たります? 芸人として頂点に立ちたい人間は、吉本か人力舎の養成所に行きますよ」。

 では、ナベプロの養成所では、どんなことが行われているのか。かつて同養成所で学んだ放送作家のC氏は、入所当時のことをこう振り返る。

「ぼくの場合は、東京の養成所ならどこでも良かったので、とりあえず大手3社に資料請求をしました。印象的だったのは、最初に異常なほど褒められたことです。入所を考えている時期に資料請求をしたら電話がかかってきて、経歴や普段の生活の様子、将来の目標などを根堀り葉堀り聞かれて、その都度『お笑いに向いてますよ』『電話でこんなに面白い人は初めて』など絶賛された。その後、面接でネタを披露したのですが、それも無条件に褒めまくる。お笑いを目指そうなんて人間は自分に自信があるに決まってますから、その時点で『自分は天才だ』って勘違いしてしまうわけです。でも入所後、ほかの研修生に聞いたら、全員が同じように褒め殺しにされていた。ナベプロはそれほど人を集めたがっていたというわけです」

 C氏が養成所に在籍した時期は10前後のコースがあり、入所者はコースごとに設定された学費をはらい、そこからひとつを選択する仕組みだった。授業は1日3~4コマで、ネタづくりや演技、ダンス、芸人としての精神論などを学んだ。

「同期は300人くらいいました。入所から3カ月目くらいにピンやコンビに分かれて一斉にネタ見せをする日があり、その出来によって良いほうからABCDの4ランクに分けられる。その後も定期的にネタ見せを行い、ランクの昇格と降格を繰り返して切磋琢磨していきます」

 授業のクオリティ自体はほかのプロダクションと大差ないようだが、大きな違いが出るのはコース修了時だ。

「入所から1年すると卒業となるわけですが、ナベプロ本体のマネージャーから選ばれた者だけが、事務所に所属することになります。ぼくのときは300人・120組(ピン、コンビ含む)中、たったの15組でした。残りの100組あまりはクビ。これほどシビアなのはナベプロだけです。吉本はどんなに出来が悪くてもたいていはまず、事務所に所属させて育てていくし、人力舎は見習いという形で後々に所属できる可能性を残しますからね。そのため『ナベ難民』という言葉があり、多くの生徒が戦々恐々としていました」(同)

 褒め殺して人を囲い、最終的にふるいにかける。人材を発掘するためには効率的な方法かもしれないが、ビジネスライク過ぎる印象を受ける。もちろん、この方法ではすくい取れない才能が出てくる。

「例えば現在フリーで活動している、たかまつなな。養成所の誰もが一目置く存在だったそうですが、マネージャーの目に留まらず、結局サンミュージックに入ってからテレビに出るようになりました。これをきっかけに、ナベプロ内でもひと悶着あったようで、以来卒業時の選定は慎重になったと聞きますが……」

 あるテレビ制作関係者も、ナベプロのマネージャーの強権ぶりについて語る。

「普通、どこの事務所でもマネージャーと芸人の関係性はある程度対等なんですが、ナベプロはマネージャーが完全な上位という絶対的なヒエラルキーがあるそうです。舞台などでどんなに人気でも、マネージャーの覚えが悪ければクビになることがある。売れている芸人は、社長の自宅に呼んで食事を振る舞うなど家族のように扱う一方、売れない芸人はモノのように扱う姿勢は、こうした社風からもつながっているのかもしれません」

 もうひとつ、ナベプロの歪みが垣間見える話がある。

「今ブレイクしているナベプロ芸人はピンが多いですが、これは同社がピン芸人を積極的に育てているため。理由は、ピンのほうが売りやすいからです。コンビは、何かと制約が多い。本来事務所としては、コンビはセットで売るのが道義です。しかし共演者からのNGや企画の都合で片方だけにオファーが来ることが少なくない。普通の事務所ならテレビ局側に頭を下げて相方も使ってもらう努力をするのですが、ナベプロは老舗という自負から、そういった営業をしない傾向にある。ある若いマネージャーが営業してコンビの仕事を取ってきた、と言ったら『ナベプロの看板が汚れる』と上司から怒られたそうですよ。だから現場としては、最初からそういったことがおこらないピンの育成に力を入れがち。コンビだからこそ力を発揮できる芸人もいるはずなのに、そうした芽を潰す行為です」(A氏)

横行する芸人の“忖度”誰のためのエンタメなのか?

 とはいえ、話を聞いた業界関係者が共通して口にしたことがある。

「こうしたナベプロの経営方針は今のテレビ業界に極めてフィットしている」

そう、前出のB氏は語る。

「ナベプロのキャラ芸人は、非常に使いやすい。番組での使いどころや役割が明確だから、台本に入れるのも楽なんです。例えば、あばれる君を出せば、みんながムチャ振りをして、本人はスベってそれがオチになる。今の時代、テレビは冒険が難しいので、何をするかわからない人は出せませんからね。その点でキャラ芸人は制作の安全を担保してくれる“セーフティネット”のような存在なんです」

 そしてこの認識は、プロダクションや制作現場だけでなく、芸人自身にも染み込んでいる。

「ナベプロは有望な人材にキャラを付加するといいましたが、ネタ自体は芸人が考えます。しかし芸人もキャラ芸のほうがブレイクしやすいことを知っていますから、一発屋に終わるリスクは承知の上で、キャッチフレーズで笑わせるネタばかり作るようになっている。キャラ芸が広告の仕事を得やすいのも呼び水です。宝くじのCMでブルゾンが『35億』と言っている姿なんて目に浮かぶようですし、サンシャイン池崎はサンシャイン60と実際にタイアップをしています。結果、キャラ芸人の需要と供給のサイクルは加速していく」(A氏)

 官僚が政権の意向をくみ、政策等を立案する行為――「忖度」と近い構図がそこにある。テレビに出たい芸人、利益を出したいプロダクション、番組制作を円滑に行いたいテレビ局にとっては理想的な状況かもしれない。だが、割を食うのは視聴者だ。

 お笑いファンを自任する、ある業界関係者の嘆きが耳に残った。

「ミュージシャンの甲本ヒロトが自殺を考えていた時、ダウンタウンの番組を見て生きる気力がわき、『日曜日よりの使者』を作った、という話は有名ですよね。お笑いって、人を生かす力があると思うんですよ。でも、今の粗製乱造される“芸人”さんたちにそれができるのかと思うと、暗澹とした気持ちになります」

 この発言には賛否があるだろう。ブルゾンちえみやあばれる君を見て、生きる気力を抱く人もいるはずだ。だが、芸人をめぐる状況が、ダウンタウンなどが現役でコントを作っていた時代から大きく変わったことは確かだ。誰のためのエンターテインメントなのか。そこにかかわるすべての人間が、一度自問すべき時期に来ているのかもしれない。

(文/編集部)

やっぱり不倫はアウト! 全CMが放送中止で渡辺謙が大ピンチ!

やっぱり不倫はアウト!全CMが放送中止で渡辺謙が大ピンチ!の画像1
大泉さん、突如代役が回ってきて『え? おれ?』という表情でしょうか。

 このところ「世界における日本のすごさ、偉大さ」を盛んに喧伝している向きにとっては、本当に世界で活躍している数少ない日本人である俳優の不倫報道は、どう映っているのだろうか? 思ったより騒がれず、ほっとしているのだろうか? しかし実は、“ある活動”が凍結されており、一般視聴者には見えない裏側で、いまだにどう転ぶかわからない状態にあるようだ。

 まずはその経緯から見ていこう。

“世界のナベケン”こと俳優の渡辺謙の不倫報道を「週刊文春」(文藝春秋)が報じたのが、3月30日。記事では、大阪北新地の高級クラブでナンバー1だった元ホステスの36歳女性と不倫関係にあり、ニューヨークで2人が手をつないで歩いている写真なども掲載されていた。

「早朝にスタジオ入りしないといけない、大阪収録の生放送番組や、タイガース中継での特別出演などに、快く出演してくれるので、『よっぽどの阪神ファンなんや』と思われていましたが、まさかキタのおねーちゃんにのぼせていたとは(笑)」(在阪テレビ局関係者)

さすが世界的俳優!不倫してもセーフ?

 しかし当初は、ベッキーや矢口真里、乙武洋匡などのように再起不能なほどのバッシングはなく、「文春砲も及ばず」といった風にみられていた。渡辺謙が所属するのは大手芸能プロ。「日本の芸能界特有の“政治”が動いたのでは?」という勘繰りの声も聞こえていた。

「もちろん事務所から報道に対して釘を刺すような“お願い”はあったようですが、それでなくてもテレビ局は慣例上スポーツ紙が書かなければ、大々的に取り上げることはない。しかも謙さんはすごく良い人で、基本的にバラエティ的なNGがない。タイガースネタをおしげもなく話してくれるし、彼を悪く扱いたくないのが本音なのでしょう。かつて白血病を患ったときも真摯に取材に対応したし、前妻が宗教にはまって何億円という借金をつくったときも、きちんと報道陣の前に出てきた。加えて世界で活躍する俳優なので、今後の関係性も考えれば、後追い情報がなければこれ以上報じる理由はないというところでしょうね」(テレビ局関係者)

「文春」から続報が出ていたものの、決定的な内容ではなかったことも大騒動に至らなかったように見えるゆえんである。

「もちろん週刊誌は後追いに動きましたが、まず本人を直撃しようにも海外にいて、どこにいるかわからない。仕方なく南果歩の自宅へいったのですが、一緒に暮らす母親も姉も【1】だんまりを決め込んでおり打つ手がない。4月1日に謙さんは、滞在先のロサンゼルスから帰国したのですが、『文春』の直撃にも『後日改めて話します』と言って切り上げてしまった」(週刊誌記者)

 こうした中で各誌では、不倫相手がかつて勤めていた北新地のクラブでコメントを取るなどしてなんとか報道したものの、その扱いは日に日に小さくなっていき、本人も相変わらず沈黙を貫いている。

CMすべて停止!? 謝罪会見を開けないワケ

やっぱり不倫はアウト!全CMが放送中止で渡辺謙が大ピンチ!の画像2『渡辺謙』映画『ラストサムライ』など、世界各国で映画や舞台に出演する俳優。熱狂的な虎党としても有名。甲子園のバックネット裏で試合観戦していた姿が、テレビ中継され、ネタに。

 こうして騒動は沈静化したかのように見えているが、裏側ではその旗色が日に日に悪くなっているようだ。

「実は、この不倫報道の影響で、渡辺謙が出演するCMが次々にストップしています。いくらメディアが好意的でもスポンサー企業はそうはいかない。大和証券は、サッカー日本代表の試合のスポンサーに入っているので、影響があってはいけないと、ウェブサイトから渡辺のCM出演映像をすべて削除するという、断固とした対応を取っています」(広告代理店関係者)

 渡辺謙はこのほかにも日本IBMやヤクルトのCMに出演していたが、こちらも番組改編の時期もあってか、停止されている。

「ヤクルトもこの影響で、すでに撮影済みだったCMをお蔵入りに。急遽大泉洋に変更して再撮したんです。ところが、岡山のヤクルト工場で撮影予定だったのですが、大泉のスケジュールがうまく合わず、グリーンバックで撮影し合成する予定とのことです。現場は相当大混乱だったみたいですよ。まあ、撮影されたままお蔵入りになったCMは、謙さんが復帰してほとぼりが冷めた頃に、あらためて使用する予定みたいですけどね」(同)

 ハリウッド俳優とて、CMは少なくない収入源。それが不倫報道で停止となれば、当然多額の違約金も出てくるはずだ。

「CMの契約では、不倫などの問題行動があった場合、違約金を支払うなどの規定が盛り込まれている場合もありますし、今回もその影響はあるでしょうね。スポンサーはどこも大手ですし、違約金がかかるとなれば、事務所としても打撃は大きい。謝罪会見などをすることで、早々に手打ちとなればCMを復活することもできますが……この騒動が長引けば長引くほど、CMに起用することもできず、旗色が悪くなってしまいますよね」(前出・テレビ局関係者)

 ではなぜ、渡辺は謝罪会見を開かず、幕引きを図らないのだろうか?

「結局、相手女性との交渉がまとまっていないんですよね。そもそも報道をリークしたのは、自撮り写真も掲載されていることから見て女性本人でしょう。一部報道では、別れ話がもつれた結果という話もあります」(同)

 前出・週刊誌記者もうなずく。

「彼女は、勤めていた北新地では上昇志向が強くて有名。芸能人や政治家とつながりたい意思を隠しませんでした。前に経営していたジュエリーショップも誰かからお金を出してもらっていたようですし、今回もこの別れ話を踏み台にして、多額の慰謝料をもらって、新しいお店のひとつやふたつでも出したいと思っているのでは?」

 多額の慰謝料を支払って早々と手打ちにしたくても、もしCMでの違約金が発生しているのならば、いかに“世界のナベケン”といえどもそう簡単には折り合いをつけられないのかもしれない。両者は目下、弁護士を立てて、話し合いをしているところだという。

 ハリウッドスターにも、離婚やビジネスの失敗などで借金を作り、身持ちを悪くする俳優も少なくない。渡辺謙は、私生活もハリウッド級になってきたというところだろうか。

(編集部)

【1】一緒に暮らす母親も姉も
渡辺謙と現在の妻・南果歩は、再婚同士。南は前夫・辻仁成との間に子どもがいるが、離婚後親権をとったものの、自身の芸能活動を配慮してか、その子を姉に預けていた。その後南は再婚を果たしたのだが、渡辺は南の母親や姉、そして前夫の間にできたその子どもも全部まとめて面倒を見ているのだという。辻と南の子どもは「尊敬している人」として「渡辺謙」と答えているのだとか。一方で、渡辺と前妻の間に生まれた杏については、実は、いまだに南との溝が埋まっていない様子。

日本テレビの内定を断ったフジテレビのスーパールーキー・久慈暁子アナ“唯一の弱点”とは?

フジのスパールーキー・久慈暁子アナ“唯一の弱点”とは?
フジテレビアナウンサー公式サイトより

 亀山千広社長が退任に追い込まれるほど、不振が続くフジテレビ。その“救世主”として期待されているのが2017年入社の新人・久慈暁子アナだ。経歴の派手さは歴代ナンバーワンとの呼び声も高い。

「13年に青山学院大学進学のため上京し、渋谷でスカウトされたのがきっかけで芸能界入り。スカウトに囲まれて歩けなくなり、帰れなくなったこともあったそうです。14年のドラマ『近キョリ恋愛〜Season Zero〜』(日本テレビ系)で女優デビューを果たし、同年『第45回non-noモデルオーディション』でグランプリに選ばれ専属モデルに。さらに、松嶋菜々子を輩出した『2014年旭化成グループキャンペーンモデル』を務め、同社のCM『ヘーベルROOMS』ではウインクしただけで100人の男性を気絶させる女性に扮したこともあります。視聴率三冠の日本テレビの内定を断ったのも経歴に箔をつける形となりました」(週刊誌記者)

 日本ハムの大谷翔平と同じ岩手県奥州市出身という久慈アナ。同市の広報誌では対談したこともあり、その際は小沢昌記市長から交際を勧められる一幕もあったという。

「フジの幹部は早くも久慈アナを“スポーツ番組の顔”としてキャスター起用したい考えのようです。ポジションが危うくなった現スポーツ担当の宮澤智アナが『やれるものならやってみろ!』とライバル心をむき出しにしています」(テレビ関係者)

 フジ好みのはっきりした顔立ちの美形に、ネット上では「文句なく可愛い」と絶賛の声が飛んでいる。しかし、そんなスター候補の久慈アナにも“唯一の弱点”があったようだ。芸能関係者が言う。

「確かに顔は可愛いのですが、胴長短足なんですよね。モデル時代も脚を出すカットだとスタイルの悪さが目立っていました。スタイルよりもルックスが重視されるアナウンサーを選んだのは賢明だったのではないでしょうか」

 完全無欠よりもどこかに弱点があったほうが、余計に好きになるのが男性心理。日本テレビの水ト麻美アナが体形をいじられてブレイクしたように、久慈アナもスタイルの悪さをウリにしてみるのもアリかもしれない?

お台場は今日も火事……河本準一の「生ポ」ネタでくりぃむ有田とフジがまた炎上

河本準一の「生ポ」ネタでくりぃむ有田とフジが炎上の画像1
全力!脱力タイムズ(フジテレビ)公式サイトより

 フジはやっぱり空気が読めない?

 5月5日の『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)で、次長課長・河本準一の母親の生活保護受給騒動をくりぃむしちゅー・有田哲平が真正面からイジったことが波紋を広げている。

 今回はこどもの日ということで「脱力!! こども相談室」と題して、街の子どもたちからの質問に答えたのだが、その中である児童から「河本さんはどうしてしばらくテレビに出なくなったんですか?」という質問がぶつけられた。

「河本は2012年に母親が15年間に渡り生活保護を受けていたことが発覚。当時の河本は年収5000万円の売れっ子だったことで世間は大激怒。河本は謝罪会見を開きましたが、仕事は激減していきました。不正受給額は1億円とも噂され、それに対して800万円程度しか返金されなかったことから、いまでも河本がテレビに出演すると視聴者から抗議の電話が殺到するようです」(業界関係者)

 番組では、河本が「おい、お前早いってまだ!」と慌てるなか、有田は「お金が、無い家庭に限りまーす」と子どもにもわかるように生活保護を解説。さらに「ちゃんと記者会見をしてね、みんなの前でごめんなさいって謝ったの」「だけどね、世間の人は冷たいね? 中々、許してくれません。 でももう、河本くんも反省してますから」と騒動に当てつけたのだ。これには河本も「ここ長いって! ここの尺が!」とツッコむしかなかった。

 しかし、放送直後からネット上ではこのシーンに対して、河本のみならず有田やフジへの批判コメントが殺到。「世間が厳しすぎるみたいな言い草でイラッとした」「ネタにしだしたの? 最低」「世間の意向は代償=引退なんだが」「笑いになんて出来ない問題だろうが!」「台本なんだろうけど、こういうことするのがフジの頭悪いところ」とフルボッコ状態だ。

「フジとしては“あえて生活保護問題に突っ込む攻めたスタイルが格好いい”と勘違いしたんでしょうね。河本本人にもこれをきっかけに復活しようという色気もあったはず。しかし、『早いって!』と言っている時点で、世間の記憶が自然に薄れていくのを待とうとしてるのがミエミエ。 そもそも早い遅いの問題じゃないですからね。『世間は冷たい』と擁護した有田の好感度も急落です」(週刊誌記者)

 いまフジにかかわると“ろくなことにならない”事例が、また一つ増えたようだ。

ブラック企業で働くと、なぜ「死ぬくらいなら会社を辞める」ができなくなるのか

1705_jisatuh1.jpg
『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』(あさ出版)

 昨年発覚した電通の新入社員の過労死事件により、過労や長時間労働の暗部があらためてクローズアップされた。日本では過労死が年々増加傾向にあり、厚生労働省によると2015年に過労死・過労自殺した人の数は482人に上るという。一方で、こうした事件が明るみになるたびに、しばしば聞かれるのが、「死ぬくらいなら、会社辞めればいいのに」という声だ。

 なぜ、過労自殺をする人は、会社を辞める、仕事を辞めることを選択しないのか。そのような意見に対する回答として、とあるマンガがTwitter上に投稿され、30万リツイートされ、話題になったのは記憶に新しい。筆者は、このマンガが『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』として、単行本化されるにあたり、監修・執筆協力を務めたのだが、過労でうつにおちいる人の気持ちを非常にわかりやすく表現している1冊だ。


1705_jisatu01.jpg

 過労自殺をする人は、「会社を辞める、仕事を辞めることを選択しない」のではなく、判断力がなくなることによって、「選択できない」状態になるのである。

 心理学の有名な概念に「学習性無力感」と呼ばれるものがある。これは長期間、人間や動物がストレスを受け続けると、その状況から逃げ出そうとする努力すら行わなくなるという現象だ。よく引き合いに出されるのが、「サーカスの象」の例。サーカスの象は足首に紐をくくられ、地面にさした杭とつながれている。象は力が強いから、杭ごと引っこ抜いて逃げ出すことができる。

 しかし、サーカスの象はおとなしく、暴れたり逃げ出そうとしたりしない。サーカスの象は、小さいころから足に紐をくくられ杭につながれて育つわけで、小さい象の力では当然杭は抜けない。つまり、小さいうちに、「抵抗してもムダ」ということをインプットしてしまうため、大きくなれば簡単に杭を抜いて逃げることができるのに、小さいころの「ムダだ」という無力感を学習したことで、「逃げる」という発想がなくなってしまうのだ。


1705_jisatu02.jpg

 これは人間にも当てはまる。人生にはたくさんの選択肢が存在するが、ずっと杭につながれていた象が杭を抜いて逃げ出そうとしないように、人間も過度のストレスを受け続けると、逃げ出すという選択肢が見えなくなってしまうのだ。

 選択肢が見えていたとしても、「辞める」という決断ができない人もいる。「辞める」決断ができない人の話を聞いていると、その大きな理由のひとつに、「辞めた後の生活が想像つかない」というのがあがってくる。

 人は、新しい環境、つまり未知の世界に不安を抱く。学生のとき、「転校」や「進学」のタイミングで、たくさんの不安や心配が湧き上がってきたのと同じように、「辞める」決断をして、新たな環境を選んだとしても、その新たな環境が必ず「より良い環境」とは限らないわけだ。そんな決断をした先に不安があるからこそ、「辞める」という決断がしづらくなるのだ。


1705_jisatu04.jpg

 このように「辞める」選択肢が自分の中にあっても、不安があることで決断できずにいる人が、過度のストレスによりどんどん追いつめられ、選択肢があったことすらわからなくなり、「もう何もできないから、死ぬしかない」と考えてしまうこともあり得るわけだ。

 だが、もしも「辞める」勇気が出ないのなら、「まずは休んでみる」のも選択肢ではないだろうか。メンタルクリニックで、うつの診断テストを受けてみたり、話を聞いてもらったりしてみるのもひとつの方法だ。

 そして、休むことができたら、そのときに、新たな環境になりそうな職場について調べてみるといいだろう。たとえば、エージェントに登録してみるのもありだ。そして「あぁ、こんな職場なら、楽しいかも」「こんな仕事やってみたかった」と思うことができれば、「職場が変わることへの不安」も解消されるはずである。また休んでいるあいだに、会社が職務内容や環境を調整してくれて、その結果、今の職場で働きやすくなるケースもある。


1705_jisatu03.jpg

 環境を変えることで初めて気づくこと、見えてくるものがある。異動願いを出して運よく仕事を変わることができればいいのだが、そうした可能性が低そうだったり、そもそも会社そのものがブラックであったりする場合も少なくないだろう。そのようなときは「休む」や「辞める」の選択肢が見えているうちに、誰のためでもなく、自分自身のために行動をしてみてほしいと思う。

(文/精神科医・ゆうきゆう)
(画像はすべて、『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』より)

今回の離婚で、男性人気は格段に上がったのではないだろうか――【小倉優子】は二度産む

人妻であろうとも2人目までは不安定、そんな仮説を補強。【小倉優子】は二度産むの画像1

 人妻であろうとも、子どもが3人できるまでは、恋愛対象になりうる――。

 恋多き哲学者ジャン=ポール・サルトルが、そんなことを言ったかどうかは知らないが、40代未婚の私がたどり着いた境地である。

 もちろん不倫を推奨しているわけではない。離婚・再婚が、焼肉でいうところの「牛角」並みにハードルが下がってきた現代。もはや好きな人や未練のある人が「結婚してしまった」ぐらいであれば、まだワンチャンあるかもしれない、と期待できるほどに、離婚が増えたように感じるのだ。

 かくいう私も、恋愛対象が「人妻子持ち」がデフォルトになりつつある。だからといって、相手の家庭を壊すという暴挙に出るつもりはない。ただひたすら、ひそかに待つのである。そして長年、私が人様の幸せを指をくわえて見てきた経験則で言うならば「小さい子どもが2人」という夫婦は、その絆の強さにおいて若干の不安定さを感じることが多い。要は離婚もありえるという話である。

 こんなことを言うと怒られそうだが、子どもが3人目ともなると、さすがにあきらめもつく。初めて、静かに身を引くことができるというものだ。ちなみに、子どもが1~2人だった場合でも、上の子が中学生になって何もなければ、あきらめたほうが良いということも付け加えておきたい。

 この「子どもが3人できるまで」の法則を立証してくれたのが、3月6日に離婚を発表した小倉優子である。発端は、2016年8月、「週刊文春」(文藝春秋)によって報じられた夫の不倫だ。折しも小倉優子が第2子を妊娠中というドンピシャなタイミング。これをみるだけでも、昨今の夫婦間では何が起こるかわかったものではないということがわかる。

 そして、今回の離婚で、小倉優子の男性人気は格段に上がったのではないだろうか。まず第一に夫の不倫が発覚後、すぐ離婚しなかったというところに好感がもてる。何に対しても「YES・NO」をハッキリと主張するアメリカナイズされた女性が増えてきている中、彼女の対応は、妊娠というエマージェンシーな状況において、とりあえずの問題は一旦先延ばしにしたいという日本人的な思考が見えてきて妙な親近感を覚えた。「ゆうこりんも普通の女の子なんだな」と。「こりん星人じゃなかったんだな」と。

 また、離婚後の心境を初めて語った日本テレビ『行列のできる法律相談所』のインタビューでは、世の中年独身男性たちをモヤモヤさせるパンチラインを放ちまくった。なんでも元夫は、2人の交際記念日が10日だったということもあり、毎月10日に花をプレゼントしてくれていたそうである。そのため「毎月10日になると、ちょっと寂しい気持ちになるかも」とのこと。

 これはもうあれだ。次に付き合う男は、9日に告白して「俺がその寂しさ消してやるよ」とか言って毎月9日に花をプレゼントするか、11日に告白して「俺がその寂しさ受け止めてやるよ」とか言って、毎月11日に花をプレゼントするとかすれば、イチコロではなかろうか。妄想は膨らむばかりである。

 極めつきは「今後再婚をするなら?」という質問に対する「ほかの人に対して浮かれた気持ちを持たない人」という回答だ。再婚に対してやる気まんまんなのである。普通、これだけヘビーな状況を経れば「しばらく結婚は……」とか「今は子どものためだけに……」とか言いそうなものであるが、ゆうこりんはめげない。その吉田照美も裸足で逃げ出すほどのやる気MANMAN! ぶりには、頼もしさすら感じられる。

 思えば 「子どもが3人できるまで」の法則に当てはめてみると、山口もえしかり紗栄子しかりである。そして、まだ離婚はしていないものの、グラドル全盛期に青春を謳歌した筆者としては、熊田曜子にも思わず期待してしまう。安田美沙子にいたっては、第1子を妊娠中なのに、すでに夫の不倫が発覚しているとのことなので、まだまだヒヨっこ。私に言わせれば“幼い”部類である。万が一、安田美沙子とそういう関係になりそうになった場合、勘違いしすぎて「あれ、淫行条例大丈夫だっけ?」と間違った野生の勘が働きそうなぐらいである。

 話がそれたが、ともあれ、これからの小倉優子の活躍ぶりには期待したいところである。現在は各メディアで離婚の真相や心境を語っている彼女ではあるが、私としては10年ほど前にハヤテのように現れて、ハヤテのように消えていったチェーン店「焼肉小倉優子」の詳細についても語っていただきたいと思っている。

西国分寺哀(にしこくぶんじ・あい)
元夫の不倫相手をほのかりんと勘違いしていた40代独身男性。「ゆうこりん」に「ほのかりん」で「りん」がつく人が好きなのかと思っていた。

ジャニーズが「女子アナとの交際禁止令」を発令した裏事情とは?

1704_ogawa.jpg
小川彩佳 番組公式ブログより

 このところジャニーズと女子アナの熱愛が世間を騒がせている。

 Hey! Say! JUMPの伊野尾慧はTBSの宇垣美里アナ、フジテレビの三上真奈アナとの二股交際疑惑が発覚。関ジャニ∞・横山裕も日本テレビの水ト麻美アナとフリーアナ・田中みな実との三角関係が噂されている。さらには、国民的アイドル嵐までもが、二宮和也はフリーアナの伊藤綾子と、櫻井翔はテレビ朝日の小川彩佳アナと立て続けに交際報道が飛び出した。

 櫻井と小川アナには真剣交際のイメージがついているものの、多くはジャニーズのイメージダウンにつながっている模様。そのため、最近になってジャニーズ事務所から所属タレントたちに「女子アナとの交際禁止令」が発令されたという。スポーツ紙デスクが解説する。

「女子アナという肩書は女性からすればモデルやアイドル、CAより“格上”の、いわば勝ち組の象徴。女子アナとの交際は基本、女性ファンからは応援されません。逆にジャニーズのタレントたちからすれば、そういう才色兼備な女性と付き合うのはステータスとなり、ジャニーズ内でも一目置かれるといいます。また、ジャニーズ事務所としても、他の芸能プロに所属しているタレントなら圧力をかけて潰すこともできる。しかし、女子アナはあくまでも会社員で、テレビ局に守られている立場。それだけに万が一妊娠でもさせようものならコントロールが効かず、そのままデキ婚となりかねません。それを懸念して、ジャニーズ上層部は必死に『女子アナとは接触しないように』と注意喚起しているといいます」

 名前が挙がった女子アナの面々はいずれも妙齢なだけに、はたして「交際禁止令」を強行突破する人が現れるのか見物だ。

「NO DRUG, NO LIFE!」『ブレイキング・バッド』のようなドラッグ職人の末路

――犯罪大国アメリカにおいて、罪の内実を詳らかにする「トゥルー・クライム(実録犯罪物)」は人気コンテンツのひとつ。犯罪者の顔も声もばんばんメディアに登場し、裁判の一部始終すら報道され、人々はそれらをどう思ったか、井戸端会議で口端に上らせる。いったい何がそこまで関心を集めているのか? アメリカ在住のTVディレクターが、凄惨すぎる事件からおマヌケ事件まで、アメリカの茶の間を賑わせたトゥルー・クライムの中身から、彼の国のもうひとつの顔を案内する。

1704americancrime14.jpg

 2000年代初頭、テネシー州マディソンヴィルは荒んでいた。中でもホワイト・トラッシュと呼ばれる低所得層の白人達が暮らすトレーラー・パークではドラッグが蔓延し、無法地帯と化していた。

 ジェリー・ライト(当時33歳)も、荒廃したトレーラー・パークの住人であった。だが彼は妻と子どものためにドラッグには手を出さず、毎月の家賃と生活費を稼ぐべくトラックドライバーとして真面目に働いていた。

「俺は、何よりも家族が第一優先なんだ」

 稼ぎは少なく、長期間家に帰ることもできない仕事であったが、働きもせず昼間からドラッグに入り浸る周囲の住人達とは違う生活を送っている。そう思うだけで、ジェリーは一家の主として誇りを感じていた。だが、そう思っていたのは彼だけだった。

 2003年6月、いつも通り長旅を終えて家に帰ると、そこに妻の姿はなかった。自分が仕事で家を空けている間、 母親のもとをたびたび訪れる妻の行動を知っていた彼は、特に気に留めなかった。ところが、この日友人から聞かされたのは、妻が近所の男と頻繁に密会しているという事実。自分が家族のために働いている間、妻はほかの男とよろしくやっていたのだ。妻の情事を知り、ジェリーは怒り狂った。勢いに任せて浮気相手のトレーラーに乗り込むが、真面目が取り柄のジェリーはボコボコにされてしまう。さらに、その姿を蔑むように妻は子供を連れて彼の元を去って行ってしまったのだ。

 この事件以降、ジェリーの生活は一変した。ショックのあまり、仕事もせずアルコールに頼る毎日を送り続け、それでも心の傷が癒えない彼は、友人から勧められたメタンフェタミン――通称クリスタル・メスに手を出してしまう。

家族思いの真面目な男、メス職人へ変貌

 暗い部屋で毎日のようにキメまくり、なくなればまた売人から買う。負のサイクルに陥った彼は、いつしか出口の見えないトレーラー・パークの住人そのものになっていた。だが、向上心だけは失わなかった彼は、いつもお世話になっている売人たちの羽振りの良さに、次第に心魅かれるようになる。

 そして、彼は地元でメスを密造するカリスマ職人に弟子入りを志願する。ジェリーの情熱に心を動かされた密造人は、必要な道具と材料を揃えさせ、一からメスのレシピを教えた。やがて、メスの密造方法を習得したジェリーは、師匠からありがたいアドバイスをもらう。

「信用できるパートナーを雇え」

 独り立ちしたジェリーはこの教えを守り、地元に住むアーロン・ブラッドリーという男をパートナーとして迎えた。自分のメス工房を作った彼は、パートナーと夜から朝方に掛けて毎日メスの密造に励み、少しずつ金を手に稼ぐようになる。やがてメス職人として軌道に乗ると、彼は調子に乗ってさらなるビジネスの拡大を目論み始める。その計画とは、工房をもうひとつ作ってアーロンと手分けして作ることでさらなる収益を得るというものだった。アーロンにはビジネスパートナーとして、メス作りに必要な材料と道具を投資し、成功したあかつきには極上のメスか大金を返してもらうという、ざっくりした契約を交わした。

 師匠からのアドバイスを無視して、再びひとりでメスを作るようになったジェリーは、少しずつ狂っていった。味見のつもりでメスをキメながら作業を続けていた彼は、周囲の密造人達が警察に摘発され始めたのを知り、疑心暗鬼に陥ったのだ。

 そこでジェリーは再び名案を思いついた。それは、警察の捜査を撹乱するために移動式の工房を作るということ。行動派の彼は新しく雇ったパートナーと共に、キャンピングカーを盗み、山奥へと場所を変えて新しい工房を作ったのだ。

 人里離れた山奥で新パートナーとメスを作り続けた彼には、大金が舞い込んだ。だが、増え続ける札束と比例して、使用するメスの量も増え続けた。彼は、密造したメスの半分を売りさばく一方で、半分をパートナーと楽しむのに当てるようになっていた。

 2004年3月5日、調子に乗った2人は家にも帰らず、20日間連続でメスを作り続けた。だが、あまりにもハイになりすぎて判断の利かなくなったパートナーは、重大なミスを犯す。材料のひとつである大量の赤リンを前にして、 タバコを吸うための火を付けたのだ。火は簡単に引火し、ジェリーの工房は大爆発を起こす。何とか生還したジェリーとパートナーであったが、すべてを失ってしまったのだ。

殺害手段はチョークスリーパー!?

 爆発事故によって、メスの密造ができなくなってしまったジェリーは途方に暮れていた。そこで以前アーロンに投資していたことを思い出した彼は、「今こそ恩返しをしてもらう」と彼に連絡をした。

 爆発から2日後、アーロンと約束をしたジェリーは、一発キメてから待ち合わせ場所の農場へと向かった。だが、時間に遅れて来たアーロンもハイな状態で現れ、ジェリーが期待していたような見返りは一切用意していなかった。アーロンがジェリーに渡したのは、売り物にもならない、出来損ないのメス。あまりにも恩知らずなアーロンに激高したジェリーは、掴みかかった。やがて、取っ組み合いの喧嘩へとエスカレートし、ジェリーはアーロンにヘッドロックをお見舞いする。アーロンはもちろん抵抗し、ジェリーの腕は彼の首元へと下がって行った。チョークスリーパーで力いっぱい締め上げると、アーロンはそのまま窒息死。予想もしていなかったアーロンの死に驚いたジェリーは、パニックに陥った。

 動かなくなったアーロンの体を林の中へと運び、穴を掘って埋め、その場を離れたジェリー。トレーラーに戻った後は、人を殺めた罪悪感と、逮捕への恐怖に駆られ、メスをキメずにはいられなかった。2週間後、抱えきれなくなった苦しみから、彼は妹にすべてを白状する。

 2004年3月23日、ジェリーは妹の通報によって逮捕された。

命がけの脱走、だがその先にあったのは…

 刑務所での生活は、ジェリーにとって耐えがたいものだった。まず、塀の中にはメスが無い。単調な刑務所生活の中で、次第に脱走の計画を立て始めた彼にチャンスがやって来たのは、逮捕から7カ月後だった。

 2004年10月31日。ジェリーが運動のために囚人グループと共に庭に出ると、一行をスコールが襲う。囚人たちは慌てて室内に戻るが、この時、看守が囚人の数を数えていないのを見ていた彼は建物の陰に隠れた。ジェリーを置いてドアが閉まると、囚人服を脱ぎ捨て、普段からその下に着ていたカジュアル・ウェアを露わにし、金網をよじ登る。金網に括り付けてあるレーザーワイアーで血だらけになりながら、彼は脱走に成功したのだ。

 ジェリーは血だらけのまま走った。無我夢中で走った。息も切れ、足が痙攣しても走り続けた。刑務所から3キロメートルほどの場所にある友人宅に押しかけると、事情を説明して車でオハイオ州にある母親の家に送ってもらうことになった。すでにハイな状態であった友人が運転する横で、彼は精神を落ち着かせるためにマリファナを吸い続けた。だが、ようやく母親の家に着くも、そこにはすでに警察の車が何台も止まっていた。夜も更け、友人と別れたジェリーは母親の家を諦め、地元に住む新たな友人宅を訪れた。そして、すり減った精神状態を癒すように、友人から貰ったメスをキメまくった。

 翌日、親切な友人はジェリーの潜伏先として、廃墟となったトレーラーをあてがい、暖房のない部屋で少しでも暖をとれるよう、ブランケットとウィスキー、そして大量のマリファナを与える。しかし、トレーラーの中はとにかく寒かった。さらに、廃墟となってしばらく経つ室内の環境は地獄のようなありさまだった。

「これなら刑務所のほうがマシじゃないか……」

 廃墟の中で過ごすことに限界を感じたジェリーは、母親に電話をかけて匿ってほしいと頼むが、母親は連日受けていた警察からのプレッシャーに耐えきれず、息子の頼みを断らざるを得ない状態にあった。

すべては家族のために… メスとは手を切る!

 潜伏生活を送るジェリーは、極寒のトレーラー内で自問自答していた。ここでの生活に限界を感じていたし、何より自分が逃げれば逃げるほど、家族が警察からのプレッシャーに苛まれるのが耐えられなかった。こんなことになっても相変わらず家族第一優先の精神を持ち合わせていた彼は、出頭を決意する。

 自分が刑務所に入れば家族も解放されるし、この絶望的な生活を終わらせられる。それは、彼にとっても望ましいことだった。だが、「出頭の際、武装した警察官に撃たれたらどうしよう」という新たな悩みを抱えることとなる。そこで、彼が思いついたアイデアは、地元テレビ局に電話をして、「脱走犯が出頭する瞬間を撮影しないか?」と企画を売り込むことだった。さすがにカメラの前では撃ち殺されないだろうと計算したのだ。彼から電話を受けたテレビ局のプロデューサーは、滅多に撮れないシーンを撮影できるとあって大喜び。かくして、ジェリーの出頭はテレビカメラが密着するという、前代未聞のものとなった。

 2004年11月4日正午。覚悟を決めたジェリーは警察署に向かって歩いた。テレビ局から連絡を受けていた警察は、不測の事態に備えてスワットチームを用意してジェリーの出頭を待ち構えていた。警察署の正面玄関に近づくと、屋上に配備されたスナイパーが、彼を狙っているのに気が付いた。自分の胸元に、レイザーサイトから放たれる赤い点がいくつも光っていたからだ。もう、ジェリーは怖くて仕方なかった。叫ぶように指示する警察に従い、両手を挙げて跪く。その後の裁判で、彼には懲役22年の刑が下された。

 妻に裏切られてメスに走り、すべてを失ったジェリー。彼の母親は、2012年に放送されたテレビ番組の中で、「出所後は生き別れになっている子どもと過ごすことで、生きる喜びを知って欲しい」と、家族を大切にし、立ち直ってほしいというメッセージを送った。それは、これまで何よりも家族を優先してきた彼の行いを知る母親からの言葉だった。

 だが、獄中インタビューを受けたジェリーは、不安そうな顔でこう答えている。

「出所したら、真面目に生きたいと思ってます。もうドラッグから離れた生活をしたいんだ。もし、できるなら……」

 彼の心の傷が癒える日は来るのだろうか?

井川智太(いかわ・ともた)
1980年、東京生まれ。印刷会社勤務を経て、テレビ制作会社に転職。2011年よりニューヨークに移住し日系テレビ局でディレクターとして勤務。その傍らライターとしてアメリカの犯罪やインディペンデント・カルチャーを中心に多数執筆中。

サブコンテンツ

このページの先頭へ