「リアルサウンド」の記事一覧(23 / 45ページ)

松岡茉優が2015年に躍進した理由は? ドラマ、バラエティで見せる“異なる顔“を分析

【リアルサウンドより】

 2015年も行く末が楽しみな役者をたくさん見ることができた。そのなかでも大きな躍進を果たしたのは、松岡茉優だろう。松岡は、現在20歳の女優。2013年の連続ドラマ小説『あまちゃん』で入間しおり役を演じ、大きな注目を集めた。その後も、『GTO』『斉藤さん2』『リトル・フォレスト』など、コンスタントにドラマや映画に出演し、着実にキャリアを重ねてきた。

 そんな松岡が今年演じた役で特に印象的だったのは、フジテレビのドラマ『問題のあるレストラン』の雨木千佳役だ。雨木千佳は、人間嫌いで会話もままならないという設定の女性。夫の女性関係が原因で精神を壊してしまった母親のために、幼い頃からご飯を作ってきた過去を持つ。こうした難しい役を松岡は、見事に表現しきった。このドラマは他にも、二階堂ふみ、菅田将暉、高畑充希など、注目の若手俳優が多く出演したが、そのなかでも松岡茉優は、定評のある高い演技力を遺憾なく発揮。第84回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演女優賞でも2位を獲得し、評価を得た。

 こうした高い演技力を支える順応性も、目を見張るものがある。今年の松岡は、ドラマでは『問題のあるレストラン』『限界集落株式会社』『She』『コウノドリ』、さらに映画では『サムライフ』や『ストレイヤーズ・クロニクル』など、さまざまな作品に出演したが、似た役を演じるということはなかった。とりわけ、『She』の西澤涼子役で披露したクールな姿は、笑顔を絶やさない明るいイメージが強い松岡とは違う一面も見れて面白かった。このような引きだしの多さは、さらなる躍進をするうえで武器になりえる。

 一方で松岡は、MCとしてのトーク力や仕切り能力も高く評価されている。MCを務める『ENGEIグランドスラム』や『ツギクルもん』といったバラエティー番組では、強烈なキャラクターを持つお笑い芸人たちと対等に渡りあい、コメントや切り返しで笑いをとる場面もしばしば見られる。

 そのコメントで見られる言語感覚も独特だ。たとえば、11月21日に放送されたフジテレビの番組『正直女子さんぽ』での、「改造されちゃったってこと? 我々近代人に」というコメント。これは、茨城の牛久大仏を見たときのコメントだが、『正直女子さんぽ』での松岡は、こうしたおもしろコメントを連発している。松岡のコメントが面白いのは、視聴者が一瞬で理解できる言葉を使いながらも、その言葉の組みあわせがちょっとズレているところだ。これが本当に絶妙で、筆者は何度もクスッとしてしまう。また、お笑い番組やドラマで見せる姿とは違い、自然体な立ち居振る舞いを見れるのもいい。松岡の面白さをもっと知りたい人は、ぜひ『正直女子さんぽ』も観てほしい。

 3月から文化放送で始まったラジオ番組、『松岡茉優ト文化的交流』も見逃せない。ここでの松岡は、『正直女子さんぽ』での自然体な姿にくわえ、軽快なテンポが光るマシンガン・トークも披露してくれる。リスナーからのお便りにも真摯に答えるなど、丁寧な心配りもうかがえる。そして何より、ひとりで喋るからこそ垣間見れる自由な姿。話のボキャブラリーも豊富で、12月8日の放送では、アニメ『デジモンアドベンチャー』ネタのトークを繰りひろげるなど、意外な一面も見られた。

 そんな松岡茉優の魅力は、フィールドによって顔が違う多彩さと、その多彩さが生みだすギャップにある。このギャップはファンを翻弄しつつも、決して飽きさせない魅力だと言える。こうした魅力に、筆者も含めた多くの人たちはトリコなのだ。(文=近藤真弥)

二宮和也とビートたけし、『赤めだか』で師弟愛をどう描く? キャスト陣の実力を読む

【リアルサウンドより】  年末年始は大型の特別ドラマが最も多い時期だが、今年は超目玉の作品がある。12月28日(月)に放送される立川談春原作の『赤めだか』は、累計18万部のベストセ…

年末企画:編集部・宮川翔の「2015年 年間ベスト映画TOP10」

【リアルサウンドより】

1. マッドマックス 怒りのデス・ロード
2. アクトレス 〜女たちの舞台〜
3. EDEN/エデン
4. セッション
5. 岸辺の旅
6. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
7. マイ・ファニー・レディ
8. インヒアレント・ヴァイス
9. 恋人たち
10. 草原の実験

 「今年は良作が多すぎて年間ベストを決めるのが難しい」と毎年思うのですが、今年は特に難しかったです。メガヒットシリーズや人気作の続編、しばらく作品を発表していなかった監督の数年ぶりの新作、カンヌやヴェネツィアなどで賞を獲った話題作…などなど、挙げだしたらキリがありませんが、苦渋の末に選んだ今年のベストが上記10作です。

 『薄氷の殺人』、『裁かれるは善人のみ』、『共犯』、『ジャッジ 裁かれる判事』、『あの頃エッフェル塔の下で』、『きみはいい子』なども、ベスト10に肩を並べる傑作でした。

 1位の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、やはり外せません。『ジュラシック・ワールド』、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネーション』、『007 スペクター』、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『クリード チャンプを継ぐ男』など、往年の人気シリーズの新作も粒ぞろいでしたが、どうしても“過去作ファンのためのもの”という感じが否めなかった中、シリーズ30年ぶりの新作となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では、ジョージ・ミラー自らメガホンを取り、全く新しい『マッドマックス』を見せてくれたことに興奮しました。2D字幕版、3D字幕版、IMAX 3D字幕版、立川シネマシティの極上爆音上映の計4回観ましたが、何度観ても飽きさせることのない、ジョージ・ミラーの執念のようなものが映画の中に溢れていた。この先、歴史に残る1本になるでしょう。

 2位の『アクトレス 〜女たちの舞台〜』と3位の『EDEN/エデン』も、自分の人生を改めて見つめ直すという意味で、非常に心に残る映画でした。それぞれの作品を手がけた、オリヴィエ・アサイヤスとミア・ハンセン=ラヴが夫婦というのもすごい。一時のジェームズ・キャメロン&キャスリン・ビグロー、スパイク・ジョーンズ&ソフィア・コッポラのように、今最も才能のある現役映画監督夫妻ではないでしょうか。

 2016年公開作も期待作が目白押しです。リアルサウンド映画部では、今後も素晴らしい映画を広く伝えていくために、様々な記事を掲載していきます。2016年もどうぞよろしくお願いいたします。

■作品情報
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
Blu-ray & DVD 発売中
監督・脚本・製作:ジョージ・ミラー
出演:トム・ハーディー、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、ヒュー・キース=バーン、ロージー・ハンティントン=ホワイトリー、ライリー・キーオ、アビー・リー 、コートニー・イートン、ネイサン・ジョーンズ、ゾーイ・クラビッツ
発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
(c)2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

二宮和也『赤めだか』、東山紀之『信長燃ゆ』……年末年始のスペシャルドラマを一挙紹介!

【リアルサウンドより】  今年も残すところあとわずか。もはやテレビも、すっかり特番ばかりです。ということで、本稿では、この年末年始、気になるスペシャルドラマを一挙ご紹介することにし…

クリスマス公開中の恋愛映画、『きみといた2日間』と『COMET/コメット』を観る

【リアルサウンドより】   クリスマスに観るのが適切かどうかはさておき、世の中には男女が延々と会話し続けるだけという類の映画が存在します。かつてはフランス映画のお家芸だった男女の会…

年末企画第1弾:宇野維正の「2015年 年間ベスト映画TOP10」

【リアルサウンドより】

1. インヒアレント・ヴァイス
2. ブラックハット
3. アメリカン・ドリーマー 理想の代償
4. シェフ 三ツ星フードトラックはじめました
5. EDEN/エデン
6. ヴィジット
7. マッドマックス 怒りのデス・ロード
8. クーデター
9. 薄氷の殺人
10. ナイトクローラー


『アメリカン・スナイパー』、『岸辺の旅』、『アクトレス 〜女たちの舞台〜』、『君が生きた証』、『フレンチアルプスで起きたこと』あたりも入れたかった! 個人的な思い入れの強い作品が並ぶ中、既に世界中で評価を確立している『マッドマックス 怒りのデス・ロード』をどこに入れるかも悩みました。『スター・ウォーズ フォースの覚醒』も目一杯楽しみましたが、作品単体の評価としてはトップ10には入りませんでした。

 空前の大作シリーズ(主に70年代生まれ)復活ラッシュ、ますます進行中のTVシリーズへの監督&キャストの才能流出と、2015年も重要なトピックは多々ありましたが、90年代以降のアメリカ映画の進化を担ってきたデヴィッド・フィンチャーとスティーブン・ソダーバーグのチルドレン的な監督たちの台頭に最も興奮しました。J・C・チャンダー(「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」)、ベネット・ミラー(『フォックスキャッチャー』)、キャリー・ジョージ・フクナガ(『ビースト・オブ・ノー・ネーション』)、そして2016年にはその筆頭的存在であるドゥニ・ヴィルヌーブの新作(『ボーダーライン』)も公開待機中!

 失望と憤りを覚えるのは、一部の大作に宣伝費が集中する一方で、メジャー配給外国映画の公開作品が年々減ってきていること。数年前ならば当たり前のように公開されていた中堅どころの監督の作品の日本公開が、水面下でどんどん見送られています。Blu-rayスルー、配信スルーに耐えうる視聴環境の整備、輸入ソフト&海外配信も楽しめるための語学力の修練など、個々で打つべき対策はいろいろありますが、やはり映画は映画館で見たいというのが本音。リアルサウンド映画部としても、ブロックバスター作品とインディー作品の間にある「普通の良作」を今後も積極的に取り上げて、この世知辛いファースト・オーダー的状況にレジスタンスしていきたいと思います。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」主筆。「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮新書)、2016年1月16日発売。Twitter

■作品情報
『インヒアレント・ヴァイス」
Blu-ray & DVD 発売中
監督・製作・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
原作:トマス・ピンチョン
音楽:ジョニー・グリーンウッド
出演:ホアキン・フェニックス、ジョシュ・ブローリン、オーウェン・ウィルソン、キャサリン・ウォーターストン、リース・ウィザースプーン、ベニチオ・デル・トロ
発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
価格:3790円(税抜)
(c)2014 Warner Bros. Entertainment Inc., Interactivecorp Films, LLC and RatPac-Dune Entertainment LLC.

SexyZone・中島健人、“腹黒ドS”男子高校生役をどう演じる? ラブホリ王子の新たな一面への期待

【リアルサウンドより】  中島健人(SexyZone)が主演を務めるスペシャルドラマ『黒崎くんの言いなりになんてならない』(日本テレビ系)が、12月22日、23日と2夜連続で放送さ…

世紀の頂上対決!  動員は『妖怪ウォッチ』、興収は『スター・ウォーズ』で決着!

【リアルサウンドより】  ちょうど1年前に、『スター・ウォーズ』10年ぶりの新作と『妖怪ウォッチ』1年ぶりの新作の公開時期がバッティングすることが判明した時点で、12月第3週が20…

熱狂的『PEANUTS』ファン田中宗一郎は、映画『I LOVE スヌーピー』をこう観た

【リアルサウンドより】  リアルサウンド映画部オープンのタイミングでマーベル映画とアメコミについてその深い見識を披露してくれた田中宗一郎氏が再び登場、今回は現在公開中の『I LOV…

なぜ少女は“おじさん”に恋い焦がれるのか 姫乃たまが『友だちのパパが好き』を考察

【リアルサウンドより】  この映画は危ないな、と、思いました。  『友だちのパパが好き』という、少女コミックのようなタイトルのこの映画は、ロベルト・シューマン(友だちのパパが好き、…

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