自分ファースト、利益至上主義、弱者切り捨て! 現代社会の縮図が走るゾンビ超特急『新感染』

<p> 映画には深読みする楽しみがある。観客は自分が観た映画を好きなように解釈する自由が認められている。時には監督が意図した以上の“神解釈”が発見されることもある。今年7月16日に亡くなったジョージ・A・ロメロ監督のブレイク作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)は、その代表例だろう。墓場から甦ったゾンビが増殖しながら人間を襲うこの低予算ホラー映画を、観客たちは泥沼化していくベトナム戦争、核兵器への恐怖、激化する公民権運動といった1960年代の米国の世相と重ね合わせて楽しんだ。そのことに気づいたロメロ監督は、さらに社会批評性を高めた『ゾンビ』(78)を大ヒットさせる。いろんな深読みができるゾンビ映画というジャンルをロメロ監督が開発したお陰で、ゾンビたちはその時代、その国によって異なる様々なメタファーとして広まっていった。そして、その最新モデルとなるのが韓国で1,100万人以上を動員したメガヒット作『新感染 ファイナル・エクスプレス』(英題『Train to Busan』)である。</p>

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