人種差別か、演出か……黒人男性を“黒焦げ遺体”役に起用したテレビ時代劇が再注目!

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主人公の包青天。額の三日月形の傷がトレードマーク

「黒人を洗うとアジア人に変身する」という内容の洗剤のCMが放映され、人種差別だと国内外から批判を受けた中国だが、今度は黒焦げの死体役にアフリカ系のエキストラを起用したテレビ時代劇が話題となっている。

『少年包青天』というタイトルのこのドラマは、北宋時代(960~1127年)に実在した、清廉潔白な官吏である包青天が、悪人を裁いていく物語である。日本の『水戸黄門』のようなもので、わかりやすい勧善懲悪な内容から、中国で大人気のシリーズとなっていた。
 
 アフリカ系の死体役が登場するのは、とある村で起こった連続殺人事件の話の回。犯人は被害者を殺害した後、死体を燃やして墓場に持っていくのだが、棺桶に入れられた焼け焦げた2つの死体を演じているのは、いずれもアフリカ系のエキストラなのだ。

 時代考証の面からも、前後の脈絡から見ても、アフリカ系の登場人物が出てくるのは不自然。ドラマ制作者は、黒焦げの皮膚を表現するために彼らを起用したのは明白である。

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映像で見ると一瞬のことなのでわかりにくいが、静止画で見れば、これが人形やメイクではないことがすぐわかる
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焼死体役を演じたこの2人は、果たしてこのとき何を思っていたのか……

 このシーンを含む回は、16年前にテレビ放送されたものだ。しかし、録画映像がネット上にアップされたことから、今ごろになって話題沸騰。

「メイクにも特殊撮影にも頼らない、この演出家はすごいな」
「恐ろしいシーンが、いきなり喜劇になったな」
「子どものころに見たときは、死体が出てきたら怖くて目をつぶっていた。大きくなってようやく見られて、大笑いした」
「宋朝の時代に外国人が定住していた証明になるな」

といった書き込みが相次いでいる。
 
 一方で、先の洗剤騒動とは違い、人種差別に対する罪悪感や非難をするような指摘は、ほとんど見られない。

 アジア人の目が細いことをイメージさせる写真が欧米メディアで使われれば「バカにした!」と大騒ぎする中国人だが、今回ばかりは、懐かしさが先行してしまったようだ。
(文=佐久間賢三)

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