切実な居場所さがし『ハイジ アルプスの物語』『幼な子われらに生まれ』に見る不定形な家族像

<p> 自分の居場所がどこにもない、誰からも必要とされていない。現代人にとって、とても切実な問題だ。イス取りゲームのように、ようやく自分が腰かけられるイスを見つけても、すぐに音楽が流れ始め、再び数少ないイスを奪い合うはめに陥る。「こんなゲーム、やめよう」と誰も言い出せないまま、また音楽が流れ始める。それならいっそ、どこかイスのない世界を見つけたい。スイスの児童文学『アルプスの少女ハイジ』は、高畑勲(演出)、宮崎駿(場面設定・画面構成)が手掛けたテレビアニメシリーズ(フジテレビ系/1979年)で日本でもおなじみの作品。スイス・ドイツ合作映画として実写化された『ハイジ アルプスの物語』を観ると、ひとりの少女の居場所さがしという現代的なテーマが込められた物語であることに気づかされる。</p>

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