そして日向先生は伝説のカウンセラーとなった! 井上真央の“神演技”が炸裂『明日の約束』最終回
「悩み続けるしかないんだと思います。親の思い込みや決めつけは、子どもにとってつらいんです。愛情だと分かるから、心がどんどん縛られていくんです」
井上真央主演の社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)の最終話。視聴率の低迷から途中打ち切りにならないかと心配された井上真央の復帰作でしたが、なんとか全10話を完走しました。前回までに誰が吉岡圭吾を自殺に追い詰めたのかという謎解…
「明日の約束」の記事一覧
「悩み続けるしかないんだと思います。親の思い込みや決めつけは、子どもにとってつらいんです。愛情だと分かるから、心がどんどん縛られていくんです」
井上真央主演の社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)の最終話。視聴率の低迷から途中打ち切りにならないかと心配された井上真央の復帰作でしたが、なんとか全10話を完走しました。前回までに誰が吉岡圭吾を自殺に追い詰めたのかという謎解…
「これは僕なりの教育です。今の時代、教師の立場は無力です。何かあれば保護者がすぐに騒ぎ立て、問題のある生徒を適切に指導することもできない。別に僕は体罰肯定派ではありません。生徒の間違った考えや行いに対して、相応…
「結婚がなくなるかもしれない。その理由ができたことに、少しだけホッとしている自分がいる。多分、まだ私は母親になる覚悟ができていない」
ちまたではクリスマスの定番ソング「恋人がサンタクロース」が流れる季節となりましたが、スクールカウンセラーである日向先生(井上真央)はそんなウキウキ気分にはなれません。なにせ、恋人がDV人間だったのですから。社会派ミステリー『明日の約束』(フジテ…
「3回くらい会うと、その人の粗というか鼻につくところが見えちゃったりするわね。本庄さんいい人だろうけど、なんか心がこもってないというか、表面的な感じがするのよ。あーゆータイプは気をつけたほうがいいわよ」
視聴者を容赦なく人間不信の蟻地獄へと引きずり込む、井上真央主演の社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)。第7話はスクールカウンセラーである日向先生(井上真央)が婚約者…
「あなたも子どもを持てば、きっと私の気持ちが分かるはずです。母親にとって子どもの存在は人生のすべてなんです。それを奪われたつらさや苦しみは、子を持つ親にならないと理解できません」
とんでもない展開を迎えつつある井上真央主演の社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)。息子を自殺で失った毒親・吉岡真紀子(仲間由紀恵)とスクールカウンセラーとして自殺の真相に迫る日向先生(井上…
「僕と結婚してほしい。僕は日向(ひなた)の味方だから。今はそんなタイミングじゃないと分かっているけど。いや、やっぱり今のはなしにしよう。どこか夜景の見えるレストランを予約して、指輪も用意して……」
井上真央主演の社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)の第5話。スクールカウンセラーである日向先生(井上真央)が、息子を自殺で失ったセレブ主婦・真紀子(仲間由紀恵)と実の母親…
「小学生のころ、私の持ち物はすべてお母さんが選んでいた。中学生のときは、おしゃれ禁止だった。高校生になると、進学も就職も決められそうだった。みんな、私のことを嫌いなんだって、あの人が言うからそう思ってた。毎日オドオド、ビクビクして、人と話すのが怖かった」
井上真央がスクールカウンセラーを演じる社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)。視聴率は5~6%代に低迷していますが…
「楽しければいいって人間も、世の中にはいるんです。理由があれば騒げるし、憂さを晴らすこともできる。ハロウィンも事件を楽しむのも同じですよ。無関係な奴らは、当事者や関係者たちを叩くのが楽しいんです。世間にとって、あなたたちは生徒を殺した悪者だ」
高校生の息子を自殺で失ったことから、セレブ主婦・吉岡真紀子(仲間由紀恵)から「息子は学校に殺された」と犯人扱いされているスクールカウン…
「ランドセルの中にしまってあったラブレターは破って、捨てておきました。日向(ひなた)がこんなにいやらしい子だったなんて、ママはショックです」
井上真央主演の社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)。なんか古臭くて野暮ったいタイトルだなぁと思っていたら、日向が小学生の頃に母親の尚子(手塚理美)から強制的に書かされていた交換日記の名前だったんですね。第1話に増して、第2話の…
フジテレビ系『明日の約束』番組サイトより「わたしは母親が好きになれない。中学のとき、ブラジャーを買ってくれなかった。小学生のときは、むりやり交換日記をつけさせられた……」
さわやかな朝の始業シーンで、井上真央演じるスクールカウンセラー・日向(ひなた)先生が母親をディスするナレーションで幕を開けた『明日の約束』。井上真央の連ドラ主演は、視聴率の低さしか話題にならなかったNHK大河ドラマ『花燃ゆ』以来、民放では『トッカン 特別国税徴収官』(日本テレビ系)以来となる5年ぶり。嵐の松本潤との結婚間近と囁かれていた井上真央がドラマ復帰作として選んだのは、謎の自殺を遂げた高校生を追い詰めた真犯人を見つけ出すという超シリアスな社会派ミステリーです。実在の事件を題材にしているだけに、関西テレビがどこまで人間の心の闇をリアルに描いてみせるのか興味津々。あえてイバラの道を進もうという井上真央の女優魂もあっぱれです。
テレビ朝日が『ドクターX』『相棒』『科捜研の女』と盤石の人気シリーズをシフトした今秋のドラマレースの中で、スクールカウンセラーが子どもたちの心の闇、その闇を生み出す元凶となっている“毒親”と対峙することになる本作はダークホース的な存在でしょう。所属事務所を移籍し、今年30歳を迎えた井上真央が背水の陣で挑む主演ドラマとして注目されていますが、いちばんの見どころは最凶毒親・吉岡真紀子を演じる仲間由紀恵の不気味さ。夏休み明けから不登校状態が続いている高校1年生の息子・圭吾(遠藤健慎)の下駄箱にあるシューズが微妙にズレていることを見逃さず、「外出するときは、ママにちゃんと言ってね」とにっこり。また、圭吾がバスケット部の先輩にメールを送るときは、背後にぴったりと張り付いて文面をしっかり検閲。仲間由紀恵の映画初主演が『リング0 バースデイ』(00)の貞子役だったことを思い出し、背筋がブルッとします。
20分拡大となった初回スペシャルでは3人の毒親が登場。バスケット部のマネージャー・増田希美香(山口まゆ)は、遊び好きな母親・麗美(青山倫子)のネグレクト地獄の真っただ中。17歳の誕生日なのにプレゼントはおろか食事代さえもらえないことから、空腹に耐え切れずに希美香はスーパーで安そうなショートケーキを万引き。あっけなく、スーパーの店員・香澄(佐久間由依)に見つかる騒ぎに。それでも男のことしか考えていない麗美にブチ切れ、自分の母親を流血させてしまう。病院で塞ぎ込む希美香に、「わたしはアドバイスすることしかできない。でも、母親から自由になるという選択肢もあるってことを覚えておいて」と優しく伝える日向先生。保護者でもなく、教育者でもない、第三者であるスクールカウンセラーならではの冷静な判断です。
カウンセラーとしては有能な日向先生ですが、そんな彼女が手を焼いているのが実の母親である尚子(手塚理美)。交際中の本庄(工藤阿須加)と居酒屋デートして夜遅くに帰ってきた日向に、「一緒にケーキ食べよう」と無理強いする尚子。善意の仮面を被った毒親に、ずっと優等生で過ごしてきた娘は逆らうことができない。一発一発のパンチはささいでも、毎晩のように浴びるとこれはキツい。さらに輪を掛けて強烈なのが、仲間由紀恵演じる吉岡真紀子。息子の圭吾を自分の監視下に置いておきながら、圭吾が自宅から抜け出すと、日向が勤める高校に電話して、「取り返しのつかないことになったら、どうするんですか!!」と教員全員に息子探しを強要する。モンスターマザーは自分が動かずとも、他人を操るのが抜群にうまい。
プチ家出した圭吾を、いち早く見つけたのは日向先生。夜の体育館で圭吾の悩みに寄り添おうとした日向先生に、圭吾は「先生にお願いがあるんです。僕とつきあって」と告白。まぁ、これはカウンセラーとクライアントにありがちな事例でしょう。「それはできないわ」と大人の対応をする日向先生。ところが翌朝、自宅に戻った圭吾は部屋で首を吊ってしまうという衝撃の初回ラスト。次回からは真紀子が息子の自殺の原因は学校側にあると大攻勢を仕掛けてくることは必至。職場に行けば真紀子の過激な口撃にさらされ、自宅に戻れば母・尚子のネチネチした嫌味に耐えなくてはいけない。日向先生どーなる!?
放送上ではクレジットされていないものの、本作の原案的な存在となっているのがノンフィクション小説『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』(福田ますみ著、新潮社刊)。長野県のスポーツ名門校で実際に起きた高校生の自殺の原因をめぐり、保護者だった母親が高校の校長たちを殺人罪などで訴えた裁判の顛末を追ったもの。地元ではかねてから問題視されていた虚言癖のある母親の巧みな言葉に、ベテラン人権派弁護士や県会議員、有名ジャーナリストたちがすっかり丸め込まれたために騒ぎが大きくなり、裁判に巻き込まれた生徒や教員たちに深い心のキズを残す結果に。また、学校側が開いた記者会見の様子をセンセーショナルな演出で煽ったテレビ局をはじめとするマスメディアが、事件の真相を大きくミスリードさせてしまったのです。ひとりの高校生の心の闇が、現代社会の歪みとシンクロして広まっていった実に恐ろしい事件でした。
鎌倉を舞台にした『明日の約束』は、脚本家・古家和尚のオリジナルストーリーとなっていますが、そんな真っ暗な社会の闇に一条の光を差し込ませることができるのでしょうか。初回視聴率は8.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、シリアスなドラマとしてはまずまずの数字だと思います。重いテーマに、これからさらに数字を落としていくのか、それとも井上真央 vs 仲間由紀恵の闘いがエスカレートして数字をじわじわ上げていくのか。手塚理美と文鳥のピッピちゃんのやりとり&「明日の約束」と名付けられた交換日記の内容ともども目が離せそうにありません。
(文=長野辰次)
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