恐怖の向こう岸で待っているのは一体何なのか? シャマラン監督が導き出した回答『スプリット』

<p> グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」「赤ずきんちゃん」を“無縁社会”という現代的キーワードで解釈し直したホラーサスペンス『ヴィジット』(15)で復活を果たしたM・ナイト・シャマラン監督。大ヒット作『シックス・センス』(99)は現代版『雨月物語』、『ヴィレッジ』(04)はレイ・ブラッドベリの古典的SF小説のオマージュ作として楽しむことができる。ネタそのものは昔からあるものを、新しい視点で描くことに優れた演出家だ。そんなシャマラン監督が新たに再発見したのが“多重人格”。ハリウッドでは『イブの三つの顔』(57)をきっかけに度々取り上げられてきた題材だが、シャマラン監督は密室サスペンス『スプリット』を極めてオーソドックスに、かつ新解釈を交えてスリリングな物語へと昇華させている。</p> <p> 幼少期に虐待されたなどのトラウマによって人格分裂が生じると言われる多重人格(解離性同一性障害)。これまでに『サイコ』(60)ではアンソニー・パーキンス、『真実の行方』(96)ではエドワード・ノートン、NHKドラマ『存在の深き眠り』(96)では大竹しのぶ、といった実力派俳優たちが多重人格者役を熱演してきた。『スプリット』で多重人格者に挑んだのはジェームズ・マカヴォイ。『ナルニア国物語/第1章 ライオンと魔女』(05)の“半神半獣”タムナスさんから、『フィルス』(13)で演じたコカイン中毒の悪徳刑事、『X-MEN』シリーズの超人たちを束ねるプロフェッサーXまで、作品ごとに異なるキャラクターを演じ、多重人格者にはうってつけ。本作では23もの人格をもつ主人公を演じている。</p>

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