他言語を学ぶとは新しい世界観を手に入れること。新時代の扉を開ける宇宙からの福音『メッセージ』

<p> かつてアメリカ大陸はインディアンが自由を謳歌する楽園だったが、白人入植者たちの勘違いによって長い長い殺戮の歴史が始まった。インディアンには土地を所有するという概念がなく、白人入植者たちが土地を譲渡してもらう代わりに渡した銃やナイフをプレゼントだと思って喜んで受け取った。ところがインディアンがいつまでも土地から出ていかなかったため、契約違反だと怒った白人たちはインディアンの大量虐殺を始めた。人類はそんなコミュニケーションの行き違いによる悲劇を何度何度も繰り返してきた。『ブレードランナー2049』(10月公開)でも注目されるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のSF大作『メッセージ』(原題『ARRIVAL』)は、人類と地球外生命体とのファーストコンタクトを描いたもの。SFファン以外にも様々なインスピレーションを与えてくれる魅力に溢れた作品となっている。</p> <p>『メッセージ』の主人公はひとりの女性言語学者。ルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)は別れた夫との間にひとり娘ハンナがいたが、病いによってハンナは若くしてこの世を去った。心にぽっかり空いた穴を埋めるべく言語学の研究に勤しんでいたルイーズのもとに、米軍大佐のウェバー(フォレスト・ウィテカー)が現われ、米軍の極秘調査に協力して欲しいと頼む。折しも世間は宇宙から飛来した巨大飛行体のニュースで大騒ぎとなっており、その宇宙人とのコミュニケーション方法をルイーズに考えてほしいという依頼だった。ウェバー大佐が持ってきた音声データだけでは、宇宙人が何をしゃべっているのか見当もつかない。エイミーは宇宙人と直接会うこと以外に彼らの言語を理解する方法はないと進言する。</p>

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