「映画」の記事一覧(23 / 48ページ)

貯金ゼロ目前、食費は1日100円……苦境極まった片渕須直監督『この世界の片隅に』は、どう完成したか

<p> 11月12日、ようやくアニメーション映画『この世界の片隅に』(原作/こうの史代)が全国公開を迎える。</p>

<p> 最初に制作発表がなされたのは、2012年の8月。しかし、企画は遅々として進まなかった。</p>

<p> 事態がガラリと変わったのは、制作発表から2年半後の15年3月だった。クラウドファンディングによる資金調達が始まると、わずか9日間で当初の目標額2,000万円に到達。最終的には、3,374人の支援者が総額3,622万4,000円を出資する国内最高金額を記録した。</p>

芸能界の荒波を生きるのんと主人公が重なり合う、戦時下における日常アニメ『この世界の片隅に』

<p> 広島市出身の漫画家・こうの史代の『夕凪の街 桜の国』と並ぶ代表作『この世界の片隅に』が劇場アニメーションとして公開される。戦時下の広島と呉を舞台にした『この世界の片隅に』は単純に反戦映画と括ることが難しい。主人公のすずは18歳で嫁入りし、嫁ぎ先に溶け込むことに懸命で、日本が戦争を始めた理由も戦況もよく分かっていない。むしろ、嫁ぎ先の呉は軍需産業で成り立っている町で、軍縮が叫ばれていた時期は町に失業者が溢れて大変だった。すずは日々の暮らしに精一杯で、国際情勢や戦局を分析する見識も余裕もない。小さな世界で生きるすずの健気な、でも周囲の人々から見ればかなり天然な、毎日の生活が丁寧に描かれていく。戦時下の日常アニメという新鮮みのある作品に仕上がっている。</p>

<p> 映画の冒頭、現在は広島平和記念公園となっている広島市中島町一帯が広島県産業奨励館(原爆ドーム)をはじめ見事な色彩で再現され、思わず目を奪われる。原作に魅了され、5年がかりで本作を完成させたのはベテランのアニメーション作家・片渕須直監督。前作『マイマイ新子と千年の魔法』(09)では平安時代の街並みを鮮やかに甦らせた片渕監督が、今回は原爆によって一瞬で消えてしまった広島の街並みを、そこで暮らしていた人たちの息づかいと共に再現してみせる。本作を見ている自分たちは昭和18~20年にタイムスリップし、すずと一緒に戦時中の庶民の生活を体感することになる。</p>

『君の名は。』が空前ヒットも、“2つの駄作”が邦画ブームをしぼませる?

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『君の名は。』公式サイトより

 興行収入160億円を突破した『君の名は。』、同じく70億円超えの『シン・ゴジラ』の大ヒットのおかげで、邦画界が盛り上がっている。だが年末に向けて、2本の大型作品が邦画ブームに冷や水を浴びせるのではないかと映画関係者の間で危惧されているという。

「ひとつは、10月29日に公開された『デスノート Light up the NEW world』です。原作の核心である『夜神月 vs L』といった明確な対立軸がなく、観客を驚かせる演出も貧弱。演技面でも前作までの藤原竜也や、ドラマ版(日本テレビ系)の窪田正孝のような切れ味の鋭さに欠け、これといった見どころがない。やはり、原作ファンが懸念したとおり、オリジナルストーリーに無理があったのかもしれません」(映画誌編集者)

 それ以上にひどいのが、12月17日に公開される実写版『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』だという。映画ライターが首をかしげる。

「すでに『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)自体が“オワコン”です。昨年7月に始まったセカンドシーズンでは、新キャラの“USAピョン”を軸に据えたものの、子どもたちにはまったく響かず、視聴率がダウン。そこに、意味不明な実写化ですからね。大人は『妖怪ウォッチ』の世界観を知りませんし、子どもには実写化されたキャラなど気持ち悪いだけ。ウチの子どもも、まったく興味を示していませんよ」

 10月26日には、遠藤憲一が扮する“じんめん犬”のビジュアルが公開されたものの、ファンは無反応。どうせなら、このまま『君の名は。』を延々と公開し続けて、『デスノート』と『妖怪ウォッチ』は“なかったこと”にしたほうが日本の映画界のためにはいいかも!?

知らぬ存ぜぬは許しません!! 90歳の認知症患者がナチス狩りに燃える復讐談『手紙は憶えている』

<p> 法が裁かぬ極悪人に鉄槌を喰らわせてやりたい。自分の人生を狂わせた相手に同じ目を遭わせてやりたい。復讐心という感情は、人間を突き動かす大きなエネルギーとなる。サスペンスものを得意とするアトム・エゴヤン監督の新作『手紙は憶えている』(原題『Remember』)はこれまで数多く作られてきた復讐ドラマの中でも、最上級の設定が用意されている。主人公はあの世からもうすぐお迎えが来そうな90歳の老人。カナダの名優クリストファー・プラマー演じるこの主人公は第二次世界大戦時のユダヤ人強制収容所からの生還者で、70年前に家族を皆殺しにしたナチス兵への復讐を果たすことを生き甲斐としている。あの憎きナチス兵をぶっ殺すまでは、おちおち死んではいられない。認知症を患い、ゆっくりとしか動かない体を奮い立たせ、生きているか死んでいるのか分からないナチス兵を探し出す復讐の旅へと向かう。<br />
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銭湯を舞台にした宮沢りえ主演作は海外でも話題! 新鋭・中野量太監督が銭湯に託した熱い愛を語る

<p> リゾート地に行かずともワンコインで気軽に温泉気分が楽しめる銭湯は、庶民にとって心のオアシス。経営者の高齢化や建物の老朽化によって年々消えつつある銭湯だが、レトロな風情が漂うあの空間を愛する銭湯マニアなら見逃せない映画が『湯を沸かすほどの熱い愛』だ。主演女優・宮沢りえが脚本に惚れ込んで出演を即決した本作は、インディーズ映画『チチを撮りに』(12)がベルリン国際映画祭をはじめ世界各国で絶賛された新鋭・中野量太監督のオリジナル作品。昔ながらの銭湯を舞台に、宮沢りえ扮する肝っ玉母さんが家族に、そして銭湯に集まる人たちにありったけの愛情を注ぐ感涙作なのだ。本作で商業デビューを飾った中野監督が、銭湯というコミュニティー空間と血縁にこだわらない新しい家族の在り方について語った。</p>

映画『怒り』高評価も、映画界から不満の声「吉田修一さん原作の作品は、もう……」

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『怒り』公式サイトより

 2016年の映画賞の先陣を切る「第40回山路ふみ子映画賞」の作品賞に当たる山路ふみ子映画賞に、李相日監督の『怒り』が選ばれた。

「李監督は、同じ吉田修一氏の小説が原作の『悪人』に続く2度目の受賞でした。『悪人』は結局、8つの映画祭で20もの賞を獲得しましたが、映画関係者の間では『怒り』はそれを超えるんじゃないかって話です」(映画関係者)

 主演の渡辺謙をはじめ、宮崎あおい、森山未來、松山ケンイチ、妻夫木聡、綾野剛、広瀬すずと、今の日本映画界を代表するようなメンバーをそろえたのも、原作者である吉田氏の強い要望があったようだ。

「吉田さんは『悪人』でかなり評価が上がった作家さんで、『怒り』を映画化したいと相談したときに『豪華キャストじゃないと、映画化は許可しない』と、映画会社に言ったそうです。『悪人』も、妻夫木に深津絵里、満島ひかり、樹木希林、柄本明と錚々たる面々だったのですが、それ以上を要求したそうです。実際問題、原作者の人でキャスティングにそこまで口を出す人はいないので、映画会社は『予算のことを無視していろいろ言う面倒な人だな』ってあきれてましたよ」(芸能事務所関係者)

 昨今の作品と違って、CGを使うことがなかったので、製作費のほとんどがキャストの出演料になるという。

「興収の目標は15億円程度だそうですが、最初の週でアニメの『聲の形』に動員数、興行収入で負けたんです。1位は今もなおヒットを続ける『君の名は。』だったのですが、そのときに『実写映画観客動員No.1』という広告を打ったんです。この広告が恥ずかしいんじゃないかって話題になりました。確かに作品の評価は高く、日本アカデミー賞でもいくつか賞を取るでしょうが、興収に結びつかないとなると、今後、吉田さんの原作を映画化しようという流れはなくなるかもしれませんね」(映画誌ライター)

 そうなると、誰の“怒り”が一番大きいのだろうか――。

地上最強の幻覚剤を求めてジャングルクルーズ! カルト映画になること必至の難作『彷徨える河』

<p> 口当たりのよいスナック菓子的な映画ばかりに接していると、簡単には咀嚼できない作品かもしれない。異なる時代に実在した2人の探検家の旅行記をベースに、コロンビアの新鋭シーロ・ゲーラ監督が撮った『彷徨える河』は非常にカルト色の強い作品だ。例えるなら、日本屈指のカルト漫画家・諸星大二郎の『マッドメン』の世界観を、フランシス・F・コッポラ監督の『地獄の黙示録』(79)的なドラマツルギーで描いたらこうなったと言うべきか。ジャングルという緑色の闇に魅了された男たちはカヌーに乗って、長い長い河を遡行していく。その旅の途中で、彼らは異なる文明の衝突、歪んだ形で広まる宗教、そして強力な幻覚作用をもたらす伝説の薬草と遭遇することになる。映画館にいながら異界の闇に触れたような、心のざわめきが止まらない。</p>

TBSが映画版『神の舌を持つ男』から撤退していた!? 『真田十勇士』も不発、堤幸彦氏の演出家生命ピンチ

<p> 前クールに放送された向井理主演の連続ドラマ『神の舌を持つ男』(TBS系)の映画版で、12月3日に公開される『RANMARU 神の舌を持つ男』(タイトル中略)。ドラマが大コケしたことから、映画の不入りが心配される中、20日発売の「週刊新潮」(新潮社)が「TBSが堤幸彦氏を見限った」と報じている。</p>

<p> 同ドラマは、原案・演出を手掛ける堤氏が「この構想</p>

イケメン化した“こども店長”加藤清史郎、中学3年で「小6」役は大丈夫か

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「加藤清史郎スタッフオフィシャルブログ」より

 トヨタ自動車が2009年から10年まで展開していたCMシリーズの初代こども店長役でブレイクした俳優の加藤清史郎が、出演した映画『クハナ!』の舞台挨拶に登場し、イケメンになった現在の姿を披露した。

「2001年生まれの加藤くんは、今年15歳。あどけなさは残りますが、あのCMの印象しかない人は驚いたでしょうね。CM出演時は、8~9歳なので当然といえば当然ですが……」(芸能関係者)

『クハナ!』において、加藤は小学6年生の役を演じている。中学3年生の加藤にとっては“最後の小学生役”となる覚悟で臨んだという。中3と小6では大きなギャップがあるのは確かだろう。だが、こうした無理のあるキャスティングは過去にも見られた。

「2000年公開の映画『バトル・ロワイヤル』における山本太郎ですね。本作は中学生が殺し合うという、前代未聞の作品ですが、そこで、撮影時25歳だった山本太郎が中学生役を演じたのです。ほかには18歳の藤原竜也、塚本高史、高岡蒼佑(現・奏輔)も出演していますが、山本の年齢が際立っていますね。さらに、この作品は内容の過激さから、“R15+指定”となり、中学生が出てくる映画を中学生が鑑賞できないハプニングも引き起こしました」(前出・同)

 その後、山本は2011年に起こった東日本大震災と、それに伴う原発事故を受けて、反原発運動を展開するため事務所を電撃退社。その後は、あれよあれよという間に参議院議員となってしまった。その原点には、無理めの役柄も難なくこなした山本太郎のストイックさがあることには違いない。

 加藤くんも、今後は子役を脱し、俳優としてこれまでのイメージを覆すような過激な役柄に挑むこともありそうだ。
(文=平田宏利)

“カメラは人間の魂を吸い取る”は迷信じゃない!? 黒沢清監督の恋愛幻想譚『ダゲレオタイプの女』

<p> 日本以上に海外で評価されている黒沢清監督の作品の中でも、終末世界を描いた『回路』(00)はひときわ人気が高いホラー作品だ。ある解体業者がたまたま赤いテープで目張りした“開かずの間”をつくったところ、その空間があの世とこの世とを結ぶ回路となって、幽霊たちが人間社会に溢れ出してくるという不気味な物語だった。オールフランスロケで撮られた新作『ダゲレオタイプの女』もまた、あるシンプルな回路が恐怖の扉を開くことになる。ダゲレオタイプという忘れ去られた初期形態のカメラによって、この世とあの世との像が結ばれ、カメラの前に立った被写体の魂は削り取られ、銀板に焼き付いた虚像に永遠の命が宿ることになる。“カメラは人の魂を吸い取る”という古い都市伝説を、黒沢監督は哀しい恋愛ミステリーへと仕立てている。</p>

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