「本」の記事一覧(5 / 21ページ)

映画界に投入された人間爆弾・小林勇貴の早すぎる自叙伝『実録・不良映画術』が爆裂的に面白い!!

 福岡で実際に起きた連続殺人事件を題材にした間宮祥太朗の初主演映画『全員死刑』(配給:日活、東京テアトル)の劇場公開が11月18日から始まった。ヤクザ専門のノンフィクションライターとして知られる鈴木智彦の『我が一家全員死刑』(コアマガジン、小学館文庫)を原作に、危険な匂い充満するこの映画を撮り上げたのは1990年生まれの小林勇貴監督だ。静岡県富士宮市出身の小林監督は地元の不良たちを大挙出演さ…

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それは、寂しいクリスマスへの序章──“文系デート”の聖地としての「神田古本まつり」

「神田古本まつり」「神保町ブックフェスティバル」。それは、本好きにとっては、1年に一度のお祭り。せどりを生業にする者にとっても、利益を上げる好機である。

 今年も10月27日~11月5日には、多くの古書店、そして、出版社が在庫を割安で販売した。とりわけ、すずらん通りに広がる出版社の出店は、すでに絶版になっている在庫、あるいは、読むには支障はないけれど汚損などで書店には回せない本…

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「図書館の選書を理解していない」と、厳しい指摘も……「文庫本の貸し出しやめて」の要望に図書館関係者は唖然

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(イメージ画像 Photo By LWYang from Flickr)

「そんなに文春文庫って買ってたかな……」

 昨週開催された「全国図書館大会 東京大会」で、文藝春秋の松井清人社長が行った、図書館に文庫の貸し出しを止めるように求める報告が、さまざまな論議を呼んでいる。

 大会前から、各所で話題を呼んだ報告は、大会内の「公共図書館の役割と蔵書、出版文化維持のために」をテーマにした分科会で行われたものだ。報告前に「朝日新聞」などで報じられたこともあってか、分科会の会場は立ち見も出る盛況となった。

 発表要旨は大会のサイトで読めるようになっているが(http://jla-conf.info/103th_tokyo/index.php/subcommittee/section21)、松井氏は「確たるデータはないが、近年、文庫を積極的に貸し出す図書館が増えている」として「文庫市場低迷の原因などと言うつもりは毛頭ないが、少なからぬ影響があるのではないか」としている。

 確かに、これまでも世間でブームになっている話題の本の購入希望が利用者から殺到。図書館が、それに応えて同じ本を大量購入するところもあり、その是否が問われたりもしていた。しかし、松井氏の報告に対して、図書館関係者からは疑問の声のほうが多い。

 中には「文春文庫をそんなに揃えている図書館ってあったっけ……」という声も。

「タイトルによっては、最初から文庫本でしか発行されないものもあります。それを貸し出ししないということは、利用者の目的をゆがめることにもなりかねません。そんなことを、出版文化を担う人間がいってよいのでしょうか」

 そう話すのは、広島女学院大学特任准教授の西河内靖泰氏。以前は、荒川区内の図書館にも長く勤務していた西河内氏は、この問題を報じた「朝日新聞」10月12日付の記事(http://www.asahi.com/articles/ASKBC4CTMKBCUCVL00D.html)を取り上げて解説する。

 この記事では、出版社側の意見を次のように解説している。

「出版社側の調べでは、文庫本の貸し出し実績を公表していた東京都内の3区1市で、15年度、荒川区は一般書の26%を文庫が占めた。ほかの区市では新書も合わせた統計で2割前後に上った」

 これに対する、西河内氏はこうだ。

「確かに荒川区では文庫本の貸し出しが目立ちます。というのも、選書にあたって講談社学術文庫や東洋文庫など、学術的な文庫を多く購入してきた実績があるからです」

 また、今年3月に、荒川区では中央図書館の機能を備えた「ゆいの森あらかわ」がオープン。この際に移動させた蔵書もあるため、パッと見で文庫本の蔵書が目立つという指摘も。

「図書館は、文庫本に関しても従来よりバリエーションを持った選書をおこなっているものです。そのことをわかっていないのは迷惑ですね」(西河内氏)

 出版不況が常態化した昨今、出版業界が解決策を求めて四苦八苦する中での椿事なのだろうか。
(文=昼間たかし)

アウシュビッツ、チェルノブイリから福島の旧警戒区域まで……『ダークツーリズム入門』で巡る81カ所の「負の遺産」

アウシュビッツ、チェルノブイリから福島の旧警戒区域まで……『ダークツーリズム入門』で巡る81カ所の「負の遺産」の画像1
『ダークツーリズム入門 日本と世界の「負の遺産」を巡礼する旅』(イースト・プレス)

“ダークツーリズム”とは、何か。

 それは、戦争や災害をはじめとする悲劇が起きた現場を巡る旅のこと。代表的なものでいえば、アウシュビッツやチェルノブイリなどがある。『ダークツーリズム入門 日本と世界の「負の遺産」を巡礼する旅』(イースト・プレス)には、後世に残したいダークツーリズムスポットが、世界と日本で81カ所が網羅されている。入門書として、これまで“意識して”ダークツーリズムを体験したことがない人に向け、比較的アクセスしやすい場所が多く取り上げられている。

 だが、このダークツーリズムは、まだまだ日本には浸透していない、新しい旅の形。本書に登場するダークツーリズムの第一人者である、観光学者の井出明氏は、東日本大震災から約8カ月後、「観光による被災地の復興」をテーマにした記事を発表した。その中で、「悲劇の記憶を見せることで復興に寄与する可能性がある」と伝えたものの、当時、ほとんど理解を得られなかった。「みんなで地域を盛り上げようとしているのに、なぜそんなことを言うんだ」「被災地の復興を阻む行為じゃないか」と。震災後には、被災した建物を残すべきか否かについても、大きな議論が巻き起こった。「つらい記憶がよみがえる」「後世の人々に恐ろしさを伝えたい」と、意見は真っ二つに割れた。

 けれど、現場が残っていると、やはり強く訴えかけるものはある。個人的に、カンボジアの首都・プノンペン市内にある、もともと学校だった「トゥール・スレン虐殺博物館」を訪れたことがある。カンボジアでは、1970年代後半の旧ポル・ポト政権時、偏った思想のもと、国民の4分の1ともいわれる大量虐殺が行われた。そのリアルな現場のひとつが、博物館になったスポットだ。

 ここでは、わかっているだけでも、2万人もの罪なき人々が投獄され、処刑された。実際に訪れてみると、敷地内に入るだけで、重苦しい空気が流れ、少しずつ気分が悪くなっていく。館内には、拷問を受け、亡くなった遺体が放置されていたベッドが置かれた独房がある。今はどうか知らないが、15年近く前に訪れた時は、独房の中へ入ることができた。何気なく足を踏み入れた瞬間、全身にずどん、と重みを感じ、思わず尻もちをつきそうになった。あたりを見回しても、誰かがいるわけでもない。そのあと、欧米系の観光客がやって来て、ゆっくりと歩いて独房内を見学していたが、わたしはあまりの恐怖で、その場に長くいられず、博物館を出た。それから3日間ほどは、怖くて、よく眠れなかった。そんな体験は、人生でそれきり。その感覚だけは、なぜか今もとてもリアルに覚えている。

 本書では、20名近くの執筆者に加え、旅好きで知られる作家の角田光代氏、バックパッカー界の重鎮である旅行作家の下川裕治氏も、自身の体験を語っている。一体、どんな場所へ行き、どんな衝撃を受けたのか。悲劇を繰り返さないように、後世に伝えるためにも訪れておきたいスポットや体験談が、この1冊に詰まっている。
(文=上浦未来)

●風来堂(ふうらいどう)
編集プロダクション。国内外問わず、旅をはじめ、歴史やサブカルチャー、地域文化まで、幅広いジャンル&テーマで取材・執筆活動を展開している。編集制作を担当した本に、『世界ダークツーリズム』『日本のふるさと百景』(洋泉社)、『秘境路線バスをゆく』シリーズ(イカロス出版)、『全国ゲストハウスガイド』(実業之日本社)、『NHK世界で一番美しい瞬間』(三笠書房)、『路線バスの謎』(イースト新書Q)など。
http://furaido.net

紙の本にアクセスする機会も増加する? Amazonの「Prime Reading」は便利だと認めよう

<p> Amazonプライム会員向け新サービス「Prime Reading」の日本での提供が始まり、話題を集めている。</p>

<p> すでに多くの人がプライム会員に登録して、映画やドラマなどの見放題「プライム・ビデオ」を利用しているハズである。映画見放題の時点で「あなどれないサービス」であることを実感した人は多いだろう。</p>

【書評】地下アイドルブームの核心に迫る一冊  ―姫乃たま『職業としての地下アイドル』

<p> 世の中には「知らない方がいいこと」がたくさんある。</p>

<p> 好きなタレントの裏の顔や、社会の闇につながるような世界、はたまた世間の人の平均年収や好きな相手の恋愛経験など。とにかく「知らない方が幸せだった」と思うことには事欠かない。</p>

<p> 一方で、人には知的好奇心というものがある。「知らない方がよい」「知ったところで何の役に立つのか」そう思えるようなことでも、「それでもいいから知りたい」という気持ちが勝って調べてしまう。そこに好奇心を満たされた満足感がついてくることは多いだろう。</p>

膨大な情熱と調査が生んだ、作りたくなるレシピ46品『海軍さんの料理帖』が誕生するまで

<p>「この製法で7割から8割は、合っていると思います」</p>

<p> 新宿の高級喫茶店で、テーブルを挟んで座った取材相手は力強く話した。その背後には、彼の丹念な取材と実践に裏打ちされた自信が輝いていた。</p>

<p> この8月に発売された有馬桓次郎・著『海軍さんの料理帖 明治~昭和まで 歴史で辿る日本海軍レシピ46品』(ホビージャパン)は、発売前から、ぜひ取材をしてみたいという期待を抱かせてくれた本であった。</p>

14年間タイの刑務所で服役した男の獄中記『求刑死刑 タイ・重罪犯専用刑務所から生還した男』

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『求刑死刑 タイ・重罪犯専用刑務所から生還した男』(彩図社)

『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)、『クレイジージャーニー』(TBS系)、『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系)など、いまや海外を巡るバラエティ番組は百花繚乱。日本では見ることのできない驚きの文化や景色が、視聴者の目をくぎづけにしている。だが、そんな番組では取り上げられない風景を描くのが、『求刑死刑 タイ・重罪犯専用刑務所から生還した男』(彩図社)だ。著者の竹澤恒男氏は、日本に覚せい剤を密輸しようとしてタイの空港で逮捕され、14年にわたって現地の刑務所に服役していた人物。彼の体験談から浮かび上がってくるのは、日本とはまったく異なるタイの刑務所事情だった。

 2002年、竹澤はタイのドンムアン空港の出国ゲートで、覚せい剤「ヤーバー」1,250錠を所持していたところを逮捕された。そのまま麻薬取締局で取り調べを受けるも、通訳の日本語能力がお粗末すぎ、ろくな会話にならない……。さらに驚くのが、日本では考えられないずさんな裁判。国選弁護人と打ち合わせをして、いざ裁判が開始されると思いきや、なんと弁護士にドタキャンされてしまった! 困り果てた竹澤を見かねて、偶然傍聴席に居合わせた女性弁護士が片言の日本語を通じて弁護をするも、薬物事件に関する知識はゼロ。その結果、検察側は竹澤に対して死刑を求刑。1審の判決は通常よりもはるかに重い終身刑、2審、3審の判決は懲役30年を言い渡された。こうして、タイの地で犯罪者となった竹澤は、殺人、強盗、強姦、薬物犯などが収容される重罪犯専用刑務所「バンクワン刑務所」に移送された。

 刑務所といえば、刑務官の厳しい監視のもとに、囚人たちが規則正しい生活を送る――というイメージを持つ人がほとんどだろう。しかし、バンクワン刑務所では、そんな日本人の常識はことごとく覆されてしまう。

 定員の倍近い6,200人が収容されるバンクワン刑務所では、規律が緩みきっていた。現金の所持が黙認され、囚人が売店を経営して、日用品、食商品、そしてタバコも販売されている。酒の販売はなかったが、囚人たちはブドウやパンを使って密造酒づくりに精を出していた。また、携帯電話やドラッグなども密売人の手によって売買されており、サッカー、タイボクシング、サイコロなど、あらゆる種類の賭博が行われていた。

 そんなバンクワン刑務所では、トラブルは尽きない。金の貸し借りをめぐって囚人同士による乱闘や刃傷沙汰が発生することも日常茶飯事。ためらいなく賄賂を受け取る刑務官は、囚人を棒でリンチし、撲殺することもある。もちろん、死因は「病死」として処理される……。

 刑務所生活が驚きの連続なら、そこに収監された囚人たちも常軌を逸していた。麻薬犯罪で捕まったレディーボーイや、国王への不敬罪を犯した者、さらには何人もの子どもたちを強姦した仏教の僧侶といった、いかにもタイらしい犯罪者だけでなく、ロシアの武器商人、イラン、ナイジェリアなどの麻薬密売人。その中に、竹澤ら何人かの日本人も含まれていた。

 暴力が渦巻くバンクワン刑務所で、竹澤はタバコのバラ売りや差し入れ品の転売といった商売を行いながら長い年月を過ごした。自炊の許された刑務所内で日本食を振る舞ったり、ラジオや本などの息抜きはあったものの、金や所持品の盗難、借金のトラブル、そしてジャンキーからあわや殺されかけるといった危険な日々について、竹澤は「史上最悪の場所」「悪夢といっていいような時間を過ごした」とつづっている。ようやくこの「悪夢」から逃れたのは、逮捕から14年後。国王による特赦の恩恵にあずかった竹澤は、日本へ強制送還された。

 東南アジアでは、ドラッグが身近に手に入るが、営利目的の密輸は、ほぼすべての国で死刑が求刑される。竹澤は、当時を振り返り「私のようになりたくなければ、絶対に手を出してはいけない」と記す。バンクワン刑務所の恐ろしさを知れば、どんな人間でも絶対に麻薬密輸に手を染めることはないだろう。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

言うことを聞かない母の頬を何度も平手打ち……50代独身男が経験した、ひとり介護生活の限界『母さん、ごめん。』

<p> 東京都だけでも58万人。全国に広げると、634万人を数える要介護者数。今後、高齢化が加速すれば、この数字はますます伸びていくだろう。さまざまなメディアが報道しているように、今、介護現場には深刻な危機が訪れている。</p>

<p> 科学ジャーナリストの松浦晋也氏(以下、敬称略)は、2014年から2年半にわたって、認知症となった母親の自宅介護を経験した。それまで介護とは無縁だった彼は、悪戦苦闘しながらその記録を『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』(日経BP社)として上梓した。</p>

母親の浪費癖、ラブホテル生活、野宿の果てに……17歳少年による「川口祖父母殺人事件」の悲劇

<p> 孫が祖父母を殺害する事件は、決して珍しいものではない。ここ数年でも、2015年に山梨県河口湖町で高校3年生の孫が80代の祖父母を、16年には兵庫県赤穂市で19歳の孫が介護をしていた祖父母を殺害。今年7月にも、神戸市北区で26歳の孫が「誰でもいいから攻撃してやろう、刺してやろうと思った」と、祖父母ら3人を刺殺している。</p>

<p> しかし、14年に埼玉県川口市で当時17歳の少年が金欲しさに祖父母を殺害した事件は、数ある祖父母殺しの中でも極めて特殊なケースだ。毎日新聞記者・山寺香が記した『誰もボクを見ていない』(ポプラ社)を一読すれば、“いったい、本当の加害者は誰か?”という疑問に突き当たるだろう。</p>

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