「03カルチャー」の記事一覧(3 / 40ページ)

なぜ、人はそこに集うのか? 新店舗には喫茶ルームもできた「カストリ書房」に、サウダーデを見た

<p> 次々と風景を変えていく現代の東京で、よくも、こんな建物が残っていたものだと驚いた。</p>

<p>「カストリ書房が引っ越したそうですよ」</p>

<p> 知人からそんな話を聞いて、ようやく取材に出向く機会が巡ってきたと思った。</p>

<p> 昨年9月にオープンしたカストリ書房は、各所で話題になっていた。遊郭や赤線、歓楽街などのジャンルを専門に扱う「カストリ出版」が手がけるこの店舗は、すでに多くのメディアによって紹介されている。高尚な物言いをすれば、崇高な性の営み。とはいえ「売春」という公序良俗に相反する猥雑な、体制の埒外にあるものをお堅い新聞や雑誌も盛んに取り上げている。しかも、客の多くを女性たちが占めているという。それも、中には女子中学生もいるというのは、以前に新聞の記事で読んだ。</p>

14年間タイの刑務所で服役した男の獄中記『求刑死刑 タイ・重罪犯専用刑務所から生還した男』

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『求刑死刑 タイ・重罪犯専用刑務所から生還した男』(彩図社)

『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)、『クレイジージャーニー』(TBS系)、『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系)など、いまや海外を巡るバラエティ番組は百花繚乱。日本では見ることのできない驚きの文化や景色が、視聴者の目をくぎづけにしている。だが、そんな番組では取り上げられない風景を描くのが、『求刑死刑 タイ・重罪犯専用刑務所から生還した男』(彩図社)だ。著者の竹澤恒男氏は、日本に覚せい剤を密輸しようとしてタイの空港で逮捕され、14年にわたって現地の刑務所に服役していた人物。彼の体験談から浮かび上がってくるのは、日本とはまったく異なるタイの刑務所事情だった。

 2002年、竹澤はタイのドンムアン空港の出国ゲートで、覚せい剤「ヤーバー」1,250錠を所持していたところを逮捕された。そのまま麻薬取締局で取り調べを受けるも、通訳の日本語能力がお粗末すぎ、ろくな会話にならない……。さらに驚くのが、日本では考えられないずさんな裁判。国選弁護人と打ち合わせをして、いざ裁判が開始されると思いきや、なんと弁護士にドタキャンされてしまった! 困り果てた竹澤を見かねて、偶然傍聴席に居合わせた女性弁護士が片言の日本語を通じて弁護をするも、薬物事件に関する知識はゼロ。その結果、検察側は竹澤に対して死刑を求刑。1審の判決は通常よりもはるかに重い終身刑、2審、3審の判決は懲役30年を言い渡された。こうして、タイの地で犯罪者となった竹澤は、殺人、強盗、強姦、薬物犯などが収容される重罪犯専用刑務所「バンクワン刑務所」に移送された。

 刑務所といえば、刑務官の厳しい監視のもとに、囚人たちが規則正しい生活を送る――というイメージを持つ人がほとんどだろう。しかし、バンクワン刑務所では、そんな日本人の常識はことごとく覆されてしまう。

 定員の倍近い6,200人が収容されるバンクワン刑務所では、規律が緩みきっていた。現金の所持が黙認され、囚人が売店を経営して、日用品、食商品、そしてタバコも販売されている。酒の販売はなかったが、囚人たちはブドウやパンを使って密造酒づくりに精を出していた。また、携帯電話やドラッグなども密売人の手によって売買されており、サッカー、タイボクシング、サイコロなど、あらゆる種類の賭博が行われていた。

 そんなバンクワン刑務所では、トラブルは尽きない。金の貸し借りをめぐって囚人同士による乱闘や刃傷沙汰が発生することも日常茶飯事。ためらいなく賄賂を受け取る刑務官は、囚人を棒でリンチし、撲殺することもある。もちろん、死因は「病死」として処理される……。

 刑務所生活が驚きの連続なら、そこに収監された囚人たちも常軌を逸していた。麻薬犯罪で捕まったレディーボーイや、国王への不敬罪を犯した者、さらには何人もの子どもたちを強姦した仏教の僧侶といった、いかにもタイらしい犯罪者だけでなく、ロシアの武器商人、イラン、ナイジェリアなどの麻薬密売人。その中に、竹澤ら何人かの日本人も含まれていた。

 暴力が渦巻くバンクワン刑務所で、竹澤はタバコのバラ売りや差し入れ品の転売といった商売を行いながら長い年月を過ごした。自炊の許された刑務所内で日本食を振る舞ったり、ラジオや本などの息抜きはあったものの、金や所持品の盗難、借金のトラブル、そしてジャンキーからあわや殺されかけるといった危険な日々について、竹澤は「史上最悪の場所」「悪夢といっていいような時間を過ごした」とつづっている。ようやくこの「悪夢」から逃れたのは、逮捕から14年後。国王による特赦の恩恵にあずかった竹澤は、日本へ強制送還された。

 東南アジアでは、ドラッグが身近に手に入るが、営利目的の密輸は、ほぼすべての国で死刑が求刑される。竹澤は、当時を振り返り「私のようになりたくなければ、絶対に手を出してはいけない」と記す。バンクワン刑務所の恐ろしさを知れば、どんな人間でも絶対に麻薬密輸に手を染めることはないだろう。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])

一度行ったら脱出困難な町……日本有数の謎地域(褒めてる)!? 和歌山県上富田町に観光案内所が誕生

<p> この謎自治体は、ぜひ一度は訪れるべき。</p>

<p>「上富田町に観光案内所ができた」</p>

<p> そんなにわかに信じがたい情報を聞き、調べて見たところ確かに「紀伊民報」9月2日付に「朝来駅に観光案内所 情報発信の拠点に」と報じられているではないか。</p>

<p> と、ここまで数行を読んで読者は「なんだよ、上富田町って?」と思っているであろう。</p>

<p> 一度地図を見てみるとよい。和歌山県上富田町は謎多き自治体である。</p>

神社関係者の困惑→沈黙から5カ月あまり……神社擬人化ゲーム『社にほへと』が、ついに開発中止を宣言

<p> 本日、DMM GAMESがブラウザゲーム『社にほへと』の開発を中止したことを発表した。4月末に不具合を理由に事前登録受付を休止して以来、5カ月あまりを経ての発表である。</p>

<p> 同社のお知らせによれば「配信の発表以降、クオリティの向上、不具合の修正のために開発を続けて参りましたが、度重なる検討の結果、正式サービスを行うためのクオリティの確保、並びにお客様への安定的なサービスの提供に支障があると最終的に判断し、開発の中止を決定」したとしている。</p>

<p> ただ、事前登録開始以来、このゲームをめぐっては重大な問題が提起されていた。</p>

<p> 現在も信仰されている実在の神社を、相談することなく無断で擬人化に使用していることの是否。その擬人化されたキャラクターのレアリティを「大吉」や「凶」という言葉で表記していることの是否などが、それである。</p>

<p> 4月に執筆したルポルタージュで、取材に応じた神社本庁の担当者は「信仰を持つ側としては気分の</p>

少女マンガ界最大のタブー? 封印マンガ『キャンディ・キャンディ』を、40代おっさん目線で解説

<p> 皆様こんにちは。美白ブームの昨今ですが、この夏の紫外線対策はバッチリだったでしょうか? シミ・そばかすは、イマドキの女性にとっては天敵ですよね。しかし、かつて「そばかす」「鼻ぺちゃ」「おてんば」こそが、モテ系女子のキーワードだった時代がありました。</p>

<p> 今回ご紹介する『キャンディ・キャンディ』は、そんな「そばかす」ヒロインが活躍する少女マンガです。1975年に連載開始、翌年にアニメ化されて以降、少女マンガ界の人気を独占。関連グッズの売り上げは年間80億円にも上り、フランスやイタリア、アジア各国でも大人気となる、まさしく少女マンガ界のモンスターだったのですが、現在は読むことができない「封印マンガ」としても知られています。少女マンガの頂点を極めた大ヒット作に、いったい何があったのでしょうか?</p>

編集部もファンも甘やかしすぎ!? またまた休載の『HUNTER×HUNTER』冨樫義博の“モチベーション問題”

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「週刊少年ジャンプ」公式サイトより

 冨樫義博の人気コミック『HUNTER×HUNTER』が、9月11日発売の「週刊少年ジャンプ」(集英社)41号から休載することが明らかになった。

 同作はこれまでにも長期休載を繰り返してきており、今年6月26日発売の同誌30号で約1年ぶりの連載再開を果たしたばかりだが、復活したのはわずか10話分で、またしても休載となった。

「連載再開の時点で、すでに『どうせ、すぐに休むに決まっている』などの声も聞かれましたからね。結局、その通りになりました(笑)。前回も2016年4~7月の10週にわたって連載した後、1年間の休載でした。作者の冨樫は年内にもう1回復活するなどとうそぶいていますが、もうこのペースを守るつもりなのでしょう。こうなってくると、週刊で連載する意味なんてありませんよね」(コミック誌編集者)

『HUNTER×HUNTER』は、1998年に連載がスタート。しかし、頻繁に休載を繰り返しており、週刊誌ベースにもかかわらず、連載19年で、コミックスがたったの34巻しか出版されていないという体たらく。

「休載の総期間は、なんと9年半にも及びます。実に連載期間の半分以上を休んでいるわけですから、怠慢以外の何物でもない。持病の腰痛が原因だと言われたこともありましたが、冨樫の悪びれない態度を見れば、単に連載のモチベーションが下がっているのでしょう」(同)

 これだけ休載を繰り返してもファンの支持をいまだに得ているのは、冨樫と『HUNTER×HUNTER』の人気の高さがなせる業なのかもしれないが、ジャンプ編集部もファンも、冨樫を少々甘やかしすぎではないだろうか?

ポケモン映画20周年記念作『キミにきめた!』に隠された、初代脚本家・首藤剛志の“幻の最終回”

<p> 8月も終わってしまった。ということで“夏休み映画”もまもなく上映終了だ。夏休みといえば、大作映画や話題作が一挙に公開される季節。今年も各映画会社が社運を懸けたであろう邦画・洋画がめじろ押しだった。</p>

<p> 僕も、全国ツアーの合間にいろいろと夏休み映画を楽しんだ。たとえば洋画では、なんといってもマイケル・ベイの『トランスフォーマー/最後の騎士王』がやりすぎですごかった。猛烈なジェットコースターっぷりでありながら、なぜか3時間もあり、まったく理解の範疇を超えていて、マイケル・ベイは頭がどうかしているとしか思えないクレイジームービーだ。</p>

ド派手なアクション、スピード感、血しぶき舞う肉弾戦! 見るとスカッとする海外ドラマ3選

<p> 連日猛暑日が続くような暑さのピークは過ぎ、9月に入ってからはほんのりと秋の空気が感じられるようになったものの、今度は暑くなったり、寒くなったりの気温差に、どうにもぐったりしがちな人も多いのではないだろうか? 今回はそんな人たちにこそ見てほしい、スカッとするドラマを紹介しよう。<br />
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言うことを聞かない母の頬を何度も平手打ち……50代独身男が経験した、ひとり介護生活の限界『母さん、ごめん。』

<p> 東京都だけでも58万人。全国に広げると、634万人を数える要介護者数。今後、高齢化が加速すれば、この数字はますます伸びていくだろう。さまざまなメディアが報道しているように、今、介護現場には深刻な危機が訪れている。</p>

<p> 科学ジャーナリストの松浦晋也氏(以下、敬称略)は、2014年から2年半にわたって、認知症となった母親の自宅介護を経験した。それまで介護とは無縁だった彼は、悪戦苦闘しながらその記録を『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』(日経BP社)として上梓した。</p>

過去の技術から劇的進化した最新モデルへの転換は必然……関西電力がトロリーバスの廃止を決定

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「立山黒部アルペンルート」公式サイトより

 あの貴重な路線がなくなってしまうのか!?

 関西電力が、立山黒部アルペンルートの一部で運行しているトロリーバスを、2019年から電気バスに変更することを発表し、話題になっている。この路線は、1964年に開通した長野県大町市の扇沢駅から富山県立山町の黒部ダム駅までを結ぶトンネル路線。開通以来、黒部ダム観光の足として多くの乗客を運んできた。

 だが、関西電力では車両更新後の電気料やメンテナンス料金を考慮し、蓄電池式の電気バスに切り替えることを決めた。

 トロリーバスは、上に張られた架線から電気を得て走る、いわばバスの形をした路面電車である。法的な分類は「無軌条電車」すなわち鉄道としての扱いになっている。

 かつては、日本でも東京や大阪、横浜や名古屋など大都市でトロリーバスが運行されている時代があった。だが、それは次第に姿を消し、現在はこの関電トンネルトロリーバスと、室堂駅~大観峰駅の立山トンネルトロリーバスが残るのみである。

 東京の例を見ると、1952年に開業した都営トロリーバスは亀戸~池袋~新宿間などを運行するも、1968年には廃止されてしまった。

「トロリーバスは、線路が不要なため路面電車よりも低コストで運行できるメリットがありました。でも、都市部での運行にはデメリットも大きかったんです。架線から電気を得る必要があるため、決まったところしか走ることができません。それに輸送力は路面電車よりも少ないんです。そのため、次第に廃れていったという歴史があります」

 そう話すのは『路面電車の謎 思わず乗ってみたくなる「名・珍路線」大全』(イースト新書Q)などの著書がある、フリーライターの小川裕夫さん。小川さんによれば、今回関西電力が切り替えを決めた電気バスは、次世代エネルギーを用いた公共交通として、水素バスと共に期待されているものだという。

「トロリーバスに比べて電気バスは、とにかく蓄電池の性能が向上しています。都内でも電気バスを導入している自治体も出てきていますよ」(同)

 都内では墨田区や羽村市で導入されている電気バス。全国各地で、徐々に導入が進んでいる。今回、関西電力が導入する電気バスは、車載パンダグラフで超急速充電ができるもの。座席数はトロリーバスの36席から33席に減るが、定員は76人から80人に増える。

 すでに過去の技術になったトロリーバスから、最新の電気バスへの転換は、もはや必然という流れなのか。立山トンネルトロリーバスは引き続き運行されるが、車両の更新は「今のところない」とのこと。廃止までの間に、ぜひ一度は乗っておきたい。

 なお、もし訪問するならば、関西電力が毎年行っている「黒部ルート見学会」がオススメ。これに参加すると、普段は乗ることのできない関西電力専用軌道を体験できる。
(文=昼間たかし)

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