テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2017年のテレビ事件簿【ドラマ編】
2016年は、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が社会現象といえる大ヒットになり、「逃げ恥」ロスなどと言われる中で始まった2017年。
今年は、社会現象になるような話題作こそなかったものの、しっかりとした秀作が多かった印象がある。そんな2017年のドラマ界を振り返ってみたい。
■ジャンルレスな『カルテット』と会話劇の隆盛
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「てれびのスキマ」の記事一覧
2016年は、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が社会現象といえる大ヒットになり、「逃げ恥」ロスなどと言われる中で始まった2017年。
今年は、社会現象になるような話題作こそなかったものの、しっかりとした秀作が多かった印象がある。そんな2017年のドラマ界を振り返ってみたい。
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2017年のテレビバラエティで大きな“事件”といえば、『めちゃ×2イケてるッ!』と『とんねるずのみなさんのおかげでした』(ともにフジテレビ系)の終了発表だろう。「楽しくなければテレビじゃない」というフジテレビイズムを色濃く残していた両番組の終了は、1980年代以降、脈々と受け継がれてきた“フジテレビ的”なものが遂に終わってしまうのか、と時代の移り変わりを実感し、寂しくなってしまう。
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『ハイパーハードボイルドグルメリポート』テレビ東京グルメ番組といえば、心穏やかに見るものと相場が決まっている。おいしそうな料理におなかを鳴らせながら、近場なら、その店の情報をメモしたりする。テレビにおいて重要な要素である「情報」の中でも、最も幸福な種類の情報番組のひとつだ。
だが、VTRを見ている小籔一豊が思わず
「どういう気持ちで見たらいいんやろ?」
「(料理を食べて)新食感とか言うてた自分が恥ずかしい」と顔をしかめる“グルメ番組”がある。
それが、10月3日深夜に放送された『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京)だ(なお、10日深夜にも第2回が放送される予定)。
タイトルからして、不穏なムードが漂っている。
この番組がリポートするグルメは、一言で言えば「ヤバい飯」。といっても、ゲテモノの類いではない。食べている人が「ヤバい」のだ。
なるほど、サブタイトルが「ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯」というのもうなずける。
まず番組は、アフリカのリベリア共和国に。
西アフリカに位置する小国で、アメリカから解放され、アフリカに戻った黒人奴隷が建国した国。そのため、共用語は英語だ。年間の日本人渡航者(民間)は限りなくゼロに近いことなどが、ナレーションを排し、テロップのみで伝えられる。
ディレクターは、街の市場に向かう。
そこで彼が目にしたのは、日の丸のマークが描かれた包み。「非売品」と記されている、とうもろこしの粉だ。それを売買している者に聞くと、やはり日本からの支援物資が横流しされ、転売されているのだという。番組では、それを手に入れて食べている人を「横流し飯」としてリポートしていくのだ。
さらに、エボラ出血熱を発症しながら奇跡的に生き残った人の食事もリポート。家族は全員エボラで死に、今は親戚の家に身を寄せている。彼女にディレクターが「生活はどう?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「変わらない。不幸なままよ。生きていけるけど簡単じゃない。食べ物がないの。叔母さんが食べ物をくれるけど、毎日じゃないから」
そして番組は、リベリアの過酷な現実を映し出す。
「元人食い少年兵の飯」というテロップ。
1989年からリベリアでは激しい内戦が行われていた。25万人以上が戦死したといわれるこの内戦で、政府軍、革命軍は共に子どもたちを拉致し、訓練を施した上で銃を持たせ、前線に送り込んだ。少年たちは現実から逃れるため、コカインを常用し、仮装して戦ったという。極限状態に置かれた彼らは、殺した敵兵の肉を食ったと伝えられている。
そんな元少年兵たちが今、どんな食事をしているかリポートしようというのだ。
2003年、内戦が終結すると、少年兵たちは居場所を失い、彼らは広大な共同墓地に住むようになった。ガイドを務める現地ジャーナリストすら、墓地の前に着くと言う。
「相当危ないぞ、近づく時は本当に気をつけないと。元少年兵が襲ってくるかもしれない」
実際、墓地の前でたむろしている男たちに声をかけると「クソ野郎、何撮ってんだ、お前!」などと罵声を浴びせられ、どんどんと人が集まってきて取り囲まれる。体をぶつけスリをしようとする者や、カメラを取り上げようとしてくる者もいる。
「とりあえず中は入れ」
と、自分たちのテリトリーに無理やり引き込もうとする元少年兵たちの迫力は、テレビでなかなか見ることのできない緊張感だった。
なし崩し的に墓地の中に入ると、ひとりの女性が頭蓋骨を掲げてほほえんでいる。両親が殺され、その復讐のため11歳から少女兵として戦ったという。今は「生きるため」に娼婦をしている。
そんな彼女に「食事を見せてくれ」と言うと、「今は食事を買う金がない」と答え、「3時間後に仕事に行くから、ついてくれば?」と言う。
「客が来て、セックスをして、客が金をくれたらご飯を買いに行くの」
暗闇の中、いつものように客を取り、金をもらって戻ってきた彼女。その報酬は、わずか200リベリアドル(約200円)。その金で、150リベリアドルの食事を買う。スープと白米だけ。1回体を売って、ほぼ1食分だ。
生きることは食べることだ。この番組は、それをあまりにも生々しく見せ、むき出しにさらしている。ほぼ白米だけのリベリアの娼婦の飯を伝えた直後に映し出されたのは、台湾マフィアの豪勢な食事。1万円以上するフカヒレまるごとスープを毎週食べている。その強烈なギャップにクラクラする。
けれど、それが現実だ。食事は、現実を如実に表す。食事から、世界の現実の確かな一部が見えてくる。
「これはグルメ番組です」
確かにグルメ番組だ。けれど、あまりにも“新食感”なグルメ番組だった。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)スキマさんの新刊、好評発売中です!
<p> ついに、恐れていたことが起きてしまった。</p>
<p> あのビートたけしが朝の生放送をやるということだけで驚きだった『おはよう、たけしですみません。』(テレビ東京系)。それも5日間連続で放送するというのだから、大丈夫なのかと思っていた。</p>
<p> 実際、たけしは初日から暴走気味。生放送でカットされないのをいいことに、得意のヅラネタをふんだんに連発し、政治ネタから自身が出演している番組のネタまでギリギリのラインで攻め続けていた。<br />
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<p> 8月26日、『24時間テレビ』(日本テレビ)の真裏で放送された『ゴッドタン』(テレビ東京系)の「最初でたぶん最後のゴールデン3時間半スペシャル」。ゴールデンで放送されたのも「まさか」の出来事だったが、このたび、ギャラクシー賞の8月度月間賞を受賞した。</p>
<p> 10年以上続く『ゴッドタン』が同賞を受賞するのは初めて。この手の賞は、いわゆる「お笑い」を軽視しがちだが、ギャラクシー賞に関してはそうとは言えない。そのため、初めてというのは少し意外な感じはするが、それでも快挙だ。</p>
<p> スペシャルではさまざまな名物企画が放送されたが、中でも印象的だったのは「マジ歌選手権」でのハライチ岩井勇気のパフォーマンスだ。<br />
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<p>「ほぼ20年戦士なのに、サンパチマイクの横で足がちゃんと震える!」</p>
<p> いまや押しも押されもせぬ実力派芸人としてテレビ界を席巻する千鳥。漫才師として、さまざまな修羅場をくぐってきた。</p>
<p> それでもノブは、この番組でマイクの前に立ち、漫才をした感想をそう語った。</p>
<p> 漫才師の実力を測る舞台は『M-1グランプリ』をはじめ、いろいろある。が、これらは基本的に練りに練って完成したネタで競い合うものだ。</p>
<p> もちろん、それが漫才の実力を測るコンテストとしては正統だ。だが、一方で、漫才師の“すごみ”を感じさせてくれるひとつに、“即興”がある。</p>
<p> 笑福亭鶴瓶は、知人を集めて六本木でカラオケをしたという話を快調に語っていた。</p>
<p>「それはね、僕のファンの子らもいながらも、精神科医がおったり、NHKのアナウンサーがおったりとか、メイクさんがおったりとかね……」</p>
<p>とここまで言って、突然、鶴瓶は客席の女性に目を向け言った。</p>
<p>「大丈夫、自分?」</p>
<p> 見ると、女性はハンカチを口に当て、顔色が真っ青。体調を崩していたのだろう。それにいち早く気づき、手を差し出しながら「おいでおいで」と席を立たせ、スタッフに指示を出しながら誘導していく。さらに、女性が申し訳なさそうに退室していくのに対して優しく声をかける。<br />
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<p>「プロレスとは人生の教科書」</p>
<p> そんな言葉を聞いた時点で、拒否反応を示す人は多いだろう。プロレス好きでもない人にとって、プロレスファンのそういった物言いは圧が強すぎるし、実際に話を聞いたとしても、「ああ、そうですか」としか反応できない。</p>
<p> 自分が好きなものを、それに興味がない人に話すのは、とても難しいことだ。<br />
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<p>「Jさんに会いたいですもん、もはや!」</p>
<p> 指原莉乃が、ラーメンをすすりながら言った。</p>
<p>「Jさん」とは、あの杉作J太郎。かつて、彼が地上波の番組で、女性アイドルにこれほど求められたことがあっただろうか?</p>
<p> この少し前まで指原は、苦手な渋谷のクラブ(踊るほう)に連れていかれ、ついには泣きだしてしまっていた。</p>
<p> 気分転換に、と入ったラーメン屋で、アイドルとしての節制で何年も食べていなかったというラーメンを食べて、ようやく落ち着きを取り戻した。</p>
<p>「ラーメンなかったら、『真夜中』嫌いになって帰ってた」<br />
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<p>「『探偵!ナイトスクープ』を見るために日本に来ました」</p>
<p> ドイツ人の大学生カップルは「YOUは何しに日本へ?」と尋ねられ、そう答えた。</p>
<p>『YOUは何しに日本へ?』(テレビ東京系)を見続けていると、そういう「そんなことで、はるばる日本まで来るの?」という事例は少なくない。佐世保バーガーを食べるために来たとか、お祭りに参加するために来たとか、ゲームセンターで対戦プレイをするために来たとか、一体どこでそんな情報を? と思うようなことばかりだ。<br />
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